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『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕』感想 怪獣大戦争だこれ!!


◆X爆誕

劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕』は1999年7月17日に公開された作品。

ポケモン金銀発売4ヶ月前に上映された作品であり、表題となるルギアの初デビュー作品。海が舞台であり、ルギアが「海の神」と称されているのならみず・ひこうタイプを予感せずにはいられないだろう。金銀ではジョウト地方の大海に位置するうずまき島に出現する。
ところがぎっちょん、実のところエスパー・ひこうだった衝撃は今でも脳裏に刻まれているポケモンキッズは少なくないだろう。いちおうドロポンを自力習得するとはいえ、ウソッキーばりにタマゲタケ。

金銀からの新ポケモンは前作『ミュウツーの逆襲』でレイモンドがドンファンを繰り出してきたり、同時上映の『ピカチュウのなつやすみ』でマリルとブルーが友情出演した。
今作ではルギアや浜田タイキックヤドキングに加え、同時上映『ピカチュウたんけんたい』ではマリルとエレキッドが友情出演したことにより、まもなく発売が迫る金銀への期待が膨らんでいく。

本作は予告詐欺…と言っていいのだろうか。
キャッチコピーが「命をかけて、かかってこい!!」で、予告編ではルギアのセリフになっているが、あいにく作中では言っていないし、発表時のタイトルは『幻のポケモン X爆誕』だったがルギアのX要素ってなんなんだよ!?と混乱を招いた。
…まあ、おそらくXとはシークレットを示唆しているのだろう。幻のポケモンだけあるし、メガミュウツーみたいに謎を仄めかしておきますよ的な。

◆昔見た時の印象

個人的には雰囲気アニメーションの印象が何故かあった。

なんでだろうか。
もう全然よく覚えていないのだが、海と常夏を彩るオレンジ諸島編が舞台だからこそなのだろうか。「夏はポケモン!」に因んだように夏に見たくなる雰囲気があるからだろうか。キーアイテムを回収する試練とか、なんか、いかにも夏休みの大冒険活劇・異文化交流って印象があったんだよな。

あと、ヒロインであるフルーラがとにかくかわいい。
グラサン私服と島の巫女、どちらとも刺さっていた。初恋かと言われるとそうでもないのだが、チラチラ見ちゃうくらい気になっちゃう系のヒロインだった。

そんなわけでこの二作目、もう大分内容を忘れていたので、例によって白紙状態で視聴してみたらこれかなりシンプルな大怪獣映画やんけ!!!!

◆大怪獣映画

思っていたほどストーリーはシンプルだった。
本作の舞台・アーシア島に生息する、神と崇められるサンダー、ファイアー、フリーザー。そのうちファイアーがジラルダンにゲッツしてしまったことから全世界の環境が一変してしまう。
これを止めるべく、サトシはルギアやロケット団との共闘を兼ね、世界を救うことになった――――

前作『ミュウツーの逆襲』よりも分かりやすいコンセプトだ。
カントー三鳥は暴れまくるし、全世界ヤバイ状態になるし(すごい数のポケモンが集まってきている異常事態)、サトシが世界を救うヒーローとなる。そう考えると、前作よりも「ポケモンらしさ」を前面に置いている。

そしてなにより、普段は敵対しているロケット団の助太刀がガチでアツかった。明らかにかっこつけているんだけども、真面目にかっこよくて頼もしく心強い。劇場版ならではの嬉しい特権・サプライズだ。

◆ルギア

「命をかけて、かかってこい!!」というキャッチフレーズはともかく、ルギアは敵対ではなくまさかの味方として協力してくれる。山ちゃんもとい山寺宏一さんのイケボと相まってLv100ありそうな威圧感を期待させられる。ソシャゲならLv120のNPCとして活躍しそう…

と思っていたのだが。
あまりルギアが強いと感じられなかった…

ここがまず記憶と大分異なっていてびっくりした
三鳥やジラルダンのほうが派手に暴れまわっていて、ルギアはそこまで鬼やべえとは思えなかった。『金銀』のネタバレになってしまうからあまりスペックを明かさないほうがいいと判断したのだろうか。

なにより、ルギアがあっさりジラルダンの捕獲装置に捕らわれてしまうのがガッカリだった。
やはり伝説のポケモンであれば、伝説の名にふさわしく無敵であってほしかった。前作の主役を務めるミュウツーがその圧倒的な力を印象付けていただけに、ルギアはどうにも物足りなさが否めない。つーかルギアを捕獲できたジラルダン何者なんだよ!?

◆ラブコメ要素

サトシとカスミのちょっとしたラブコメが描かれていた。

本編でもボーイミーツガールwithじてんしゃを果たした二人の関係を匂わせていた気がしたのだが、本作は結構この二人の距離感が強く描写されていたし、フルーラがそれについて言及していた。実のところ、今作は三角関係じみていたように見えた。クソガキポケモンキッズの頃は特にラブコメには興味を持っていなかったのだが、今見ると結構なニヤニヤ要素である。
まあ、本当にちょっとした程度の要素なのだが、それでも「カスミいつもよりヒロイン力増しているなあ」と気にさせるつくりだった。

…最終的にはサトシは誰ともくっつくことはなかったなあ。

◆ジラルダンの魅力

本作の悪役に位置付けされるジラルダンは今見ても魅力的だ。
余裕のある風格、色気のある声、そしてポケモントレーナーではなくコレクター。ポケモンらしから異色めいたキャラ。だがそれがいい。ちびっこにもわかりやすい大怪獣映画である中で、大人の色がある。
ちなみに中の人は鹿賀丈史さん。FF4のゴルベーザが自分の中で強くあったが、なるほどあの声で納得だ。本業は俳優なのだが、声優もイケている。

ジラルダンはやりたいことをやりつくしているのが好印象だった。
バカでかい要塞のような飛行船や知能の高いAIを作っているし(おそらくひとりでだろう)、ファイヤーやサンダー単騎では破壊できない謎の檻まで使ってくるし、とにかく幻のポケモンをゲッツする躊躇のなさが突き抜けていて潔い。やっていることは非道だが、そこまでヘイトはない。

ルギア出現の後半からは出番が少なくなってしまったし、やや蚊帳の外になってしまったのだが、最後まで謎の大物感を維持していたのがよかった。全く小物感を感じさせられない、ポケモン世界においてかなり異色なキャラクターだった。
最後飛行船はオシャカになったが、古代のミュウのカードを手にしていたのも良い幕引き。今回のやらかしはワルだし、世界を巻き込んだレベルでハタ迷惑だし、ジュンサーさんに通報されても全然おかしくないのだが、もう勝手に自由気ままに生きてええんちゃう?の精神に浸れてしまった。
ジラルダンはスピンオフを与えてもいいくらい魅力的なキャラだと思うのだが、まあ流石にそこまで贔屓できないか。なお2002年に公開された『水の都ラティオスとラティアス』ではちらっと登場しているとのことなので、そちらも確認したい。

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