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褒める悪魔

肩書きや資格のもつ「権威」というのは厄介なものです。

「先生の言ってることだからきっと正しい」
「あの人は二段だから初段の自分より凄いはず」
「あいつはキャリアが浅いから分からないんだ」

表面的な部分に捕らわれ、人や物事の本質を見失うことは多々あります。

上記の例でも、実際には技が効かない先生もいれば、その辺の二段より遥かに上手な初段もいるし、ただ古参というだけで偉そうな稽古人だっています。

残念ながら、一度「権威」に対して先入観を持ってしまうと、そこから抜け出すのは大変です。特に指導する立場になってしまうと、その偏向により拍車がかかりやすくなります。

なぜなら、「先生」というものは本人が望まなくても敬われる存在だからです。生徒たちが畏まったり褒めたりすることで勘違いし、生徒に対して横柄な態度をとってしまう指導者は珍しくありません。

この従順な生徒たちは、指導者の人間的な質を落とすという意味で「褒める悪魔」と言えます。ありがたい一方で気を付けるべき存在です。

今回は、指導者またはそれに近い立場になった場合、何に気を付け、どのような稽古をしていくべきか、どうすれば「褒める悪魔」による勘違いを防げるのかを考えていきたいと思います。

1、脱ワンパターン化を目指す


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