新しい価値観と古い価値観
大学時代に五大学合同稽古というイベントがありました。
これは5つの大学(筑波大・国学院大・日本女子大・理科大・早稲田大)の合気道部員が筑波大に一堂に会して稽古を行うもので、学生だけで企画・運営されていたイベントでした。
そこでできた繋がりは社会人になっても途切れることなく、飲み会や稽古会などそれなりに開かれていて、とても良い企画だったなと思います。
最近は筑波大学が廃部寸前だったこともあり、参加大学が筑波大から高千穂大になってしまったようですが、今でも続いているようですね。
で、こんな素敵な企画ですが、みんなが好意的に見ているわけでもなく。。
師範から見た合同稽古
このイベントに関して当時の師範にお話をしたところ、
「それはまずいな・・・」と一言。
実は、この5つの大学はすべて異なる師範が指導していました。
それが好ましくないそうで、師範同士の仲が悪かったり、他の道場で稽古して欲しくない師範がいたら面倒になるとのこと。
本来なら各大学の師範から許可を取る必要があると言われました。
出稽古を許さない師範
出稽古禁止というのは珍しい話ではありません。
トラブルが起きた時の責任の所在であったり、技術の流出であったり、稽古人(客)の取り合いといった問題に発展するかもしれず、全く不合理な取り決めというわけではありません。
ですが、SNSも発達してコミュニケーションが取りやすくなった現代では、師範ー生徒という縦のつながりだけでなく、他道場、他武道の稽古人同士という横のつながりも形成しやすくなってきました。
今ではSNSを起点として、武道系の方々が流派関係なく交流することも珍しくありません。
そうすると、2つの価値観が対立する構造ができます。
1つは、指導者によって運営され、技術を占有し、参加者に忠誠を求めるタイプ。
もう1つは、コミュニティによって運営され、技術を共有し、気軽な参加を重んじるタイプ。
前者は出稽古を禁止する師範、後者は交流稽古を企画する学生たちです。これらは「古い価値観」と「新しい価値観」のように区別することも可能でしょう。
これからは新しい価値観を持った方が増えていくでしょう。ですが重要なことは、「古い価値観は悪い」「新しい価値は良い」と安易に判断しないことです。
例えば、確立された技術を体系的に学ぶ場合、様々な分野の人の意見を取り入れるよりもその道に精通した師範からマンツーマンで教わる方がよほど効果的でしょう。
SNSではよく新旧の対立構造で盛り上がっていますが、本当に大事なことは自分や自分の組織はどのような価値観を持っていて、今後は何を大切にするべきかを見極めることです。
今回のnoteでは、古い価値観と新しい価値観を更に深く比較し、それらの価値観によって組織はどう変わっていくべきかを考えていきたいと思います。
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