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映画雑考

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映画レビューと言うよりは、観ている間と後に思ったことを書き留めたメモの様なものです。
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2016年7月の記事一覧

#053「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

#053「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

どんな人にも親があって、いつか、早いか遅いかは個人差があるけれど、誰もが親から離れて自分で世界を生きていかなければならない。親は、子供が安心して世界を生きられるように、あらゆるものになって寄り添い、何を見ても何をしても傍に居なくても勇気付けられる様に、そうやって子供を育てるのだなぁと思った。
勇気を思い出せる言葉や、安心出来る声があるって、それを一緒に共有出来る家族が居ることは、本当に素晴らしいこ

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#052「コードネーム U.N.C.L.E.」

#052「コードネーム U.N.C.L.E.」

私がスパイ映画に傾倒していることは前回お伝えした通りで、何なら1960年代の『スパイ大作戦』ドラマ版でさえ大好きで恰好良いと思っているわけで、もうスパイさえ出てくれば何でも良いみたいだ、私。と、思っていたけれど、今回、初めて全然好きになれないスパイ映画に出会った。もはや、スパイ映画の風上にも置けない。

とにかくお洒落に仕上げてあって、そのお洒落処がとにかく多い?と言うか、ずーっとその調子。
スパ

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#051「キングスマン」

#051「キングスマン」

スパイ映画は問答無用に好きなので、好きすぎて正当な判断が出来ません。

カレーが好きで、不味くてもカレーなら何でもOK。に、近いものがある。
加えて、コリン・ファースとマイケル・ケインが(二人とも、声と話し方がとても)好きなので、その二人が良いスーツとか着ているだけで、もう、幸せ。

長回しのアクションも、絶妙に残虐なのだけれど、スピードと編集で巧くにやにや出来る範囲に収まっている。あの、振りかぶ

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#050「FAKE」

#050「FAKE」

真実がどうであるのか、は、観た人が想像するしかないし、きっと佐村河内さんの中にも、新垣さんの中にも各々の真実と嘘がある。
だからと言って、彼らを晒して叩く必要は全く無いし、そもそも佐村河内氏の生い立ちと音楽に感動して裏切られたと感じた人以外にとって、何がそんなに事件だったのかは良く分からない。

まず、新垣さんのことを考えると、25歳から18年間、名前の出せない仕事をしていて、このままずっとこうな

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#049「夜中に犬に起こった奇妙な事件」

#049「夜中に犬に起こった奇妙な事件」

親だからって子供の全てを受け容れられる訳では無いし、親だからこそ、子供にとってベストな存在になれなかったりする。そのことに、親であるから猛烈に苦しむ。家族って本当に、難儀だ。
個人的には、そういうどうにもならない苦しさを抱えることもあり得るはずの家族が、世の中では妙に美しく眩しい存在で、家族=愛でなければいけない。というプレッシャーが、歪な形になってしまった家族を更に追い詰めてしまう気がして。家族

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