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映画雑考

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映画レビューと言うよりは、観ている間と後に思ったことを書き留めたメモの様なものです。
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2016年6月の記事一覧

#048「サンローラン」

#048「サンローラン」

イヴ・サンローランに関する映画は、ドキュメンタリーを含めて3本あって、その一番最近の作品。彼のデザイナー人生全体を描いているのは、「イヴ・サンローラン」の方。
この作品は、彼の人間や生き方に焦点が当たっていて、ディオール時代には殆ど触れていない。

人の中には喜びと悲しみの両方があって、その感受性を飼っているみたいなもので、悲しみや痛みの方にばかり構っていると、喜びは喰われてしまうのかな。と思う。

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#047「明日に向かって撃て」

#047「明日に向かって撃て」

好き放題やって調子こいてたら、なんか、すっげー追ってくるんだけど。マジかよ。もうやるっきゃないぜ。な、映画。

「明日に向かって撃て」と「スティング」は、もう、本当に大好きな作品で、映画ってなんて楽しいんだと、観る度に思う。昔の映画は、設定やお話はシンプルなのに、色々なことを表現するために沢山の工夫が埋め込まれていて、その全てが楽しませてくれる。
何て言ったら良いか分からないけれど、俳優も、脚本も

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#046「エベレスト 3D」

#046「エベレスト 3D」

映画館に観に行って、最近になってDVDで見直したら、色々思うところがあったので。
先ずは、タイトル何か良いの無かったのかな。3D以外に言い様無いんだろうけれど、末尾に3Dって付くのはなんというか、とにかく無粋よね。

エベレスト登山に完全に素人は居ないとは言っても、自力で登る力の無い人達が、大金を払ってツアーに参加していることに驚く。
山には世界中のツアーの沢山のお客さんが押し掛けていて、酸素やル

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#045「紙の月」

#045「紙の月」

普通の銀行員が、ちょっとしたことから巨額の横領にまで至るお話。角田光代原作。

事件として明るみに出る横領事件て、額が余りにもぶっ飛んでいて、何に使ったらそんなことになるのよと驚くことが多い(少額のものは表に出さないだけだろうけど)。
その、ぶっ飛んだ規格外のものは、意外と地味で冷静なのだ。という映画。

画面はひたすら暗くて、なんだかどの瞬間も刹那的で、お金を騙し取っても、使ってもバレても、主人

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#044「私の男」

#044「私の男」

私は熊切監督が好きです。

で、平日仕事が終わってから、ダッシュで劇場に観に行った記憶。
かなりパンチのある設定とお話なのに、俳優のエネルギーが渦巻いていて内容が入ってこなかった。とにかく、観客も含めて二階堂ふみに喰われた。と、思った。あの瞬間のあの年齢の、あの生々しい二階堂ふみでなければならなかった。彼女の全てが映っていて、二階堂ふみのドキュメンタリーでも観た様な気がして、3日後にも観に行った気

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