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相手のことを知ると言うこと

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#長編

【小説】相手のことを知ると言うことvol.5

【小説】相手のことを知ると言うことvol.5

 午後の5時半にもなると、辺りは暗くなった。この季節になると空き地に麒麟草の一種、セイタカアワダチソウがところ狭しと群れで咲いている。
 中里由麻は、医大の研究室で働くようになって一年と半年が経った。
 眼鏡をかけた舘ひろし風の神崎先生が、
「悪いが、この血液の検体を遠心分離機にかけて来てくれないか」と言って由麻に渡した。
「はい、分かりました」と言って、臨床検査室に向かった。
「すみません。遠心

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