お酒が大好きなソプラノ歌手が1ヶ月の禁酒に成功するまで②
前回はお酒への愛が爆発して終わってしまったため、今度こそ本題に入る。
一般的に女性は男性よりも急速な速さでアルコール中毒になりやすいのは有名な話。更に女性の方が平均して10倍以上の速さで肝硬変になるらしい。
ちょっと調べるだけで、その他も恐ろしい言葉が画面に並ぶ。お酒ってめちゃくちゃ身体に悪い。うん、知ってた。知ってて飲んでたよ、美味しいから。好きだから。
厚生労働省のホームページやネット記事読んでお酒やめられるくらいなら、最初から飲んでいないんだよ。
ここで、アルコール依存症の定義を確認したい。
飲酒によって得られる精神的、肉体的な薬理作用に強く囚われ、自らの意思で飲酒行動をコントロールできなくなり、強迫的に飲酒を繰り返す精神障害(Wikipedia より)
断りを入れておきたいのだが、私はアルコール依存症が深刻で辛い病気であることは理解しているつもりだ。また、とても身近な病気であることも承知している。
おそらく私はアルコール依存症ではない。
今までお酒をやめようと思うこと自体無かった。好きだから。
飲んでも記憶はなくならないし、泣いたり吐いたりしないので、酒癖の悪さもなかったつもりだ。
酔ったらちょっと声がうるさくなるだけ。酔ってなくてもか。
ただ、アルコール依存症の専門家に相談したわけではないので本当のところはわからない。
アルコール依存症は、否認の病気らしい。
本番前は絶対飲まないし(これについてはまた改めて述べたい)、キツそうな稽古前、レッスン前日なんかも控えていた。1週間飲まないことなんてザラだった。
そう、コロナまでは。
私が禁酒をした理由は
体調を崩したから
です。
※全快しました
それまで体調がすっきりしない日が長く続いていた。
3月23日からずっと家にいたせいだ、全部コロナのせいだ、仕方ないと思っていた。
いつから体調が悪いのかわからない。
なんとなく具合は悪いけど、生活には影響がない。医者なんて大げさだ。
思春期の頃は、毎日具合が悪かったっけ。
そもそも体調が良い状態を思い出せない。
これが私の普通かな?となっていた。
お酒を飲みたいという気持ちも、飲酒量もどんどん減っていった。
禁酒への助走はバッチリだったというわけだ。
禁酒前の終盤は、あまりの具合の悪さに3日に1回1本ビール飲むかどうか(飲むな)という酒飲みとは言えない程度の飲酒量。
しかしある日突然コレハヤバイドウシヨオカアサンタスケテ!!!!となり、拙い英語でお医者さんにかかった。
それからお酒なんて飲む気分じゃなかった、というか食欲もゼロで何も受け付けなかった。
あのままガタが来なければ、コロナストレスを理由に今も不定愁訴に悩まされながらビールを飲み続けていたのかもしれない。
ちなみに病気の理由は、アルコールではない。ただ、アルコールも原因の一つになったことは確かだと思う。
今まで体調を崩しても、元気になったらすぐお酒を飲んでいた。
しかし今回はちょっと違って、一旦お酒をやめてみるチャンスではないかと思った。
そして何度も「飲みたい」と心が揺れたが、思いとどまることができた。
その理由を述べていく
1.まずは1ヶ月やめると期限を決めた
人間は目標があると頑張ることができる。
そして、達成できると自信になる。
ダイエットや勉強と同じで、継続していると「せっかくここまで頑張ったのだから、もう少し頑張ろう」と自分を励ますことができる。
そして、1ヶ月頑張ったらその時は飲もう!と決めていた(笑)※まだ飲んでません
ありきたりな方法ではあるが、これから禁酒をする人は「量を減らしていく」や、「まずは3日に1回に減らす」よりも、「まずは1ヶ月」をオススメしたい。
もし途中で飲んでしまっても、また始めればいい。禁酒は何度でも始められるのだ。ドクターストップでもかかっていない限り、自分に厳しくなりすぎる必要はない。
お酒に支配されず、自分をコントロールして、自身が快適だと思える頻度を見つければそれでいいのだ。
そのためにまず1ヶ月やめてみるのは、色々な気付きのために有効と感じる。
2.お酒を買うハードルが高い
当然、飲むためにはお酒を買いに行く必要がある。
私はNYに住んでいるのだが、NYは基本的に酒屋さんに行かないとお酒が買えない。
そして必ずID(私の場合パスポート)を求められる。しかも金髪でショートカットの時にパスポートを更新してしまったせいでしょっちゅう別人と疑われる。面倒だ。
3月23日のロックダウン後は本当に不便な生活になった。
最寄りの酒屋さんは休業し、スーパーに入るまでに30分以上並ぶことは普通だった。そしてやっと並んで入ったスーパーで、酒より必要なものを買い溜めるので精一杯だった。(NYは日本と違い、外出の回数を減らすために約1週間分の買い溜めを推奨されていた)(酒も買ってたけど)
ロックダウン初期にお酒を買い溜めしたら、「家の酒全部飲む」事件も起きた。
これではさすがに色々まずいと思い、お酒を必要以上に家に置くことはやめた。そのため家にお酒がほぼ無い状態で禁酒を始めることができた。
もうほとんど自由に生活できるが、いまだにNYCの全てのレストランの店内飲食は禁止されている。まだ無闇に外出するのはちょっと後ろめたい。
日本のようにコンビニでいつでも手軽にお酒が買えたら、もっと気持ちは揺らいでいるはずだ。
3.コロナで生活が不安定になった
NYは基本的に日本より物価が高い。
生活への不安からお酒を買う後ろめたさが強くなった。後ろめたいお酒は純粋に楽しめない。
アメリカの支援も日本の支援も一切受けられないので、困っている日本人留学生がたくさんいる。
10万円貰ったりアートにエールが正直羨ましかった。
じゃあ帰れよ!自業自得!と思われるかもしれないが、酒を飲みながら色々悩みに悩んだ末、とりあえずこちらに滞在することが最善と判断したのだ。コロナめ!
ただNYはビール、特に日本人にも馴染みのあるバドワイザーがめっちゃ安い。そしてウマい。
お店によってバラつきはあれど、運が良ければ日本の半額以下で買うことができる。
日系スーパーに行けば、アサヒビールが1.39ドルなので、1ドル108円で計算すれば150円となる。安い!
そう考えると日本の酒税ってすごいのね。なんとビールの値段のうち44%は税金。プラス消費税、今10%なんだよね。
お酒を嗜む人は沢山納税していて偉いのだ(?)国もハッピー
4.お酒以外のストレス発散ができるようになった
そもそも働きもせず紡ぎもせず、家にいるのだからストレスなんて無いと思われるかもしれないが、やはりストレスは溜まる。
いくら歌うことが許されている物件でも、みんながstay homeしているのにずっと練習していたら近所に申し訳ない気持ちになっていた。
そんなロックダウン中、毎食の料理とお酒を飲むことは私にとって大きな楽しみだった。
今は情勢が落ち着いてきたので、毎日散歩に出ることや、買い物に出ることはとても良いストレス発散になっている。
YouTubeを見ながらのトレーニングやヨガもとても良い影響があった。
余談ではあるが、一時期流行ったオンライン飲みはコーヒーで参加していた。日本との時差は13時間、さすがに朝8時から飲むのは後ろめたすぎたのだ…。
お酒がなくても私は十二分に楽しんでいた。誘ってくれた友人にありがとう!!
5.パートナーも禁酒してくれた
これは本っっ当に感謝をしているのだが、これまたお酒がめちゃくちゃ大好きなパートナーが頼んでもいないのに一緒に禁酒をしてくれた。
目の前でビールをゴクゴクされていたら、私の心はボキボキと折れていたと思う。
というか、体調を崩したわけでもなくサラッと飲むのをやめた彼に禁酒の極意を聞いた方が有意義なのでは?書きながら気づいた
6.また体調を崩すのが怖い
当たり前だ。
しかしお酒に強い私の体にとって、アルコールはそこまでの悪者ではないのではないか?という疑問が生まれた。
むしろアルコールよりもっと身体に悪い習慣になっていることはないか考えた。
生活リズムの乱れ、圧倒的運動不足、口寂しくて何となく食べていたアメリカのお菓子、などなど。特に買い溜めした保存食中心の食生活は1番の悪だろう。
自炊をしたって注意を払っていなければ栄養は偏ってしまう。
突き詰めると肉食、グルテンの摂取なども良くない。
こうして私に健康ブームが起こった。これについては改めて掘り下げたい。
7.もはや飲むきっかけが無い
人間は習慣にしていたことも45日だか60日だかやめると(うろ覚え)、それは完全にルーティンから外れるそうだ。
今もう既に飲酒は私のルーティンから完全に外れている。
本番もないし、友達にも会っていない。せっかく今お酒やめられているし、そうなると飲みたくてももう飲む理由がない。飲まなくていい。なんだか寂しくなってきた。しいていえば、人が恋しい。まーでもやっぱり、お酒も恋しい。
次回は禁酒して起きたこと、健康について実践したこと、今後のお酒の付き合い方について思うところを書き留めたい。
お読みいただきありがとうございました!