想像していなかった未来
もし、数年前の私に「未来の私は今の正社員の仕事を辞めて、非正規労働者として働きながら、有名な先生のセミナーを受けて、起業しようとしているよ」なんて言おうものなら、ひっくり返って泡を吹くことだろう。次の瞬間、「壺は買ったの?」なんて切羽詰まった顔で問いかけてくるかもしれない。
だって、何もかもがめちゃくちゃで想像していない未来だ。しかも現実なのだから、笑ってしまう。
これがドラマや漫画なら「あのいい子ちゃんのりんごが??どうしたの?」と誰もがその近くにいる不穏な存在を探ろうとするかもしれない。
誰だ!そんなことを吹き込んだのは?
ちなみに壺は買ってないし、生涯に渡って購入する予定はない。
数年前の私は常識という名の檻に閉じ込められた(というか、勝手に閉じこもった)社畜だった。仕事は辛い思いが現金化されるものだと思っていたし、上司に怒鳴られながら生きるのが困難だと感じていた。それでも辞めなかったのは、社会人たるもの正社員として勤めてナンボだと思っていたからだ。あと、親という生き物は正社員という生き方を望んでいると勝手に信じていた。
(これも最近、働いてればなんでもいいよと言われ驚いたところだ。親は子供が幸せならそれでいいらしい。神か?天使か?親ってすごいな、大きいな)
転職したのは、簡単な理由だ。
パワハラでメンタルが壊れて、壊れた蛇口のように目から涙が止まらなかったからだ。サービス業なのに目からぼたぼたと涙を流して「いらっしゃいませ」と迎えてくれる従業員なんてもはやホラーでしかない。私だったら、絶対お客さまアンケートに「あの人を休ませて」と書く案件だ。それはさておき、人間の体はよくできている。壊れていることを教えてくれるのだから。
その次にベッドから起きられなくなった。私の周りだけ明らかに重力が狂っていた。私はヒラメのように、いやカレイのようにかもしれない。どっちがカレイでヒラメなのかはわからないが、とにかくニトリのシーツに張り付いていた。起き上がれば吐き気が止まらないので、もう布団と結婚するしかないな…と思ったりする余裕はなかった。冬の寒い時期、毎朝「もう布団と結婚する!一生離れない」と宣言をする私なのに、実際現実を目の前にしたときにそんな余裕は微塵もなかった。別に倒れたのが夏だったからというわけではなく。
そんな私は這いつくばるようにハロワに通った。生きるために認定日にはいかなければならなかった。メンタルが壊れてもお金がいる。親に迷惑をかけられない。けど本当にベッドから起き上がるのが苦痛で、さらには窓口の待ち時間の長さに辟易していた夏だった。前述の夏とは、ひとまわり季節が回転した頃だった。そんな中ふと今の職場の求人にたどり着いた。
本当はまだ自分に仕事ができるかどうか自信がなかった。まだ布団離れできていなかったし、メンタルは壊れっぱなしだった。ふとした瞬間に泣きかねない。慌てるな、蛇口は急に止まらない。
それでも、そこに応募したのはひとえに待ち時間が長かったせいである。
人間、長い列に並んでからようやく店に入ると、せっかく並んだのだからと余計なものまで色々と買ってしまうという。その激安スーパーの仕組みみたいな勢いで「ここに応募します」と宣言した。窓口の人も驚いたことだろう。
その直後「なんで私は応募したんだ」と車の中でうめいたことを覚えている。そして「だって、あんなに待たせるから」と自問自答したことも。
結果から言えば、この選択(厳密には何も考えなかった勢いでの行動)は成功であったし、私は今もそこに勤務しており、考えなしの自分と、あたたかい職場に深く感謝している。
感謝はしているが、非正規雇用という立場は実に不安定で、最初は自分が生活していけるか不安だった。不安も何も、まず働けるだけで御の字なのだが。
正直、通い始めた当時は毎日通えるかを心配しており、通勤定期は常に1ヶ月だった。いつ辞めてもリスクが少ないように。非正規雇用という立場が心配になった頃には季節は3回目の夏を迎えていた。
しばらくの間はうじうじしてみたものの、家計を整理してみたら余裕で暮らせることがわかった。パワハラ社員の時は休みのたびに散財していたので、ストレスフリーになったらなにもしなくても出費は減る一方だった。社畜は経済を回しすぎている。
またつみたてNISAを初めてみたら、妙に増えたりもした。運が良く今そうなっているだけかもしれないが、正社員じゃないと生きていけないなんて、ただの幻想だってわかった。
そして、収入は給料以外でも得られるなと知った私は、自分は非正規ゆえに副業が可能なことを知り、やってみようと地元の商工会のスクールに通い始めた。
怪しいセミナーだったら、絶対に参加しなかった。でも、地元の商工会というのは安全中の安全パイだったので、そこで基本を学び、本職を持っていれば副業は簡単に始められることを知った。なんだ、簡単じゃんと思った。起業するだけなら簡単。そもそも、生活費は本業で担保できているので、あとは楽しく働くだけなのだ。儲けはこの際、後からついてきてもらおう。
だったら、楽しいことで楽して儲けると決めた。趣味を楽しみながら、成果物を販売してみたりする。もしかしたら、世界が私の文才を求めているかもしれないな?とこうやって文章を綴る。
好きなことをただ好きなようにやる。だって、才能なんてどこにあるかわかんないし、どこで誰の目につくかもわからないから。
ちなみに儲けはまだ遅れているようだが、大丈夫!ヒーローは遅れて登場するものと相場は決まっている。
そんな中、なんかすっごい先生がやるセミナーが良いと聞いて、今までなら絶対詐欺だと信じて疑わなかったのに、これはいけるんじゃね?と結構な額のセミナー料を払ってしまったりした。
清水の舞台から10回くらい飛び降りるつもりでクレカきってみたら、不正利用と疑われ止められたけど、誤解が解けて決済できたのでなんとか私はまた一歩踏み出す。来月の請求がヤバすぎて笑っちゃうけど、それはそれ。
まぁ、究極それがモノになるかどうかなんて、私次第でもあるし、どう転ぶかは未知数だ。でも、だからこそ面白い。とか、ガリレオ演じる福山雅治は言いそうだけど、私はガリレオを見たことがないから言わないかもしれない。
そもそも私は今の自分に数十万の投資をできないという自分が許せなかった。だって、そんなの私は価値のない女と言っているみたいじゃないか。それくらいの価値、自分が認めてあげないで誰が認めてくれるっていうの?自分が自分を一番高く買ってあげなくてどうする!
ゆえにこれは自己満足でもある。だって、私の未来は明るいって信じたいじゃん。ダメだったらダメでいいの!と言える額じゃないので、本気で食らいつきます。何かを得る。アマゾン川のピラニアのように。
でね、最初のセミナーがまさに1週間後なので、本当にどうなるかわかんないわけです。今わかってるのはなんかすっごい人が集まるっぽいから、私は友達100人作りたい!だから名刺100枚作ってみた。この年で友達100人できたら、これ十分に資本金回収できるよね。
あと今の東京めっちゃホテル高い!噂には聞いてたけどやばすぎる!やむなく埼玉に宿とったけど、セミナー最終日は東京にとれるくらいの力を宿していたい。頑張れ、私の相棒!私の右手!
だからね、数年後の私もまた何をやってるのかわからないわけで、本当に想像できなくて、面白くてたまらない。こんなにワクワクできることある?
それで、私は見てもいないガリレオの福山雅治を思い浮かべながら言うんです。
「実に面白い」
私、今の自分が最高に好き!
青田買いするなら今ですよー!
みんなも可能性の種を蒔きませんか?