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エッセイ(4)【イヤリングを着けて】

 高校の頃の友人に会った。
 彼女はとても優しい人で、その反面物事を白黒はっきりさせたがったり負けず嫌いだったりする一面もある。私はそんな彼女が人として好きであり、そのぶれない精神に尊敬の念を抱いている。
 そしてさらに有難いことに、彼女は二十代の今でも私と仲良くしてくれているのだ。

 ある日、私はいつも一緒にいてくれてありがとうの気持ちも込めて、彼女に誕生日プレゼントを渡すことにした。贈り物のセンス、洒落っ気は皆無の私だが、それでも一所懸命に探したそれは、半透明の小さな青いビーズ(まるで泡のよう)がいくつか半円状に連なり、そこから銀色の細長い金属が流線を描いて垂れるデザインのイヤリングだった。大切な品なので、購入したお店でプレゼント用に包んでもらう。
 プレゼントを渡すとき、私は緊張していたが、彼女がそれを受け取り、開けて見て喜ぶ姿に安堵したのを覚えている。

 あのイヤリング、さりげなさも透明感も、彼女によく似合ってたな。
 そうふと思い出し、彼女の耳に目をやると、見覚えのある銀色の海月のあしみたいのが見えた。


「それ、イヤリング着けてきてくれたの?」

『うん!これ青色で、かわいくて綺麗だから気に入って着けてるんだ。』


 嬉しそうに海月みたいなイヤリングを揺らして見せる彼女を見て、私はとても嬉しい気持ちになった。

 いろんな気持ちが溢れる。
 着けてきてくれてありがとう。気に入ってくれてありがとう。似合った姿が素敵でいてくれて、笑顔でいてくれてありがとう。伝えてくれてありがとう。一緒にいてくれてありがとう。
 わーっと言葉が溢れたが、なんだか照れてしまって、「似合ってるね」と一言添えた。
 嬉々とした表情の彼女はまだ海月のあしを指先で弄っている。

 これからも彼女が一緒にいてくれたら嬉しいと、心からそう思うのだった。

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