侍、時を駆ける【毎週ショートショートnote|お題「お題「この中にお殿様はいらっしゃいますか?」】参加記事
たらはさん、今週もお題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
お家存亡の危機である。某藩の家老は悩んでいた。
「お世継ぎがなきまま、殿が病に倒れるとは……。儂は如何に事をなすべきか」
問う宛のない言葉が、その唇からこぼれ落ちる。その彼に耳打ちをする者がいた。
「御家老様。聞き及んだところ、さる場所で人捜しをすると叶うと言います。この段に及んでは、お試しになれば如何かと存じますが」
「そのような場所があるならば、すぐにでも人を遣わそう。で、そこはどこなのだ?」
家老の問いに藩士は潜めた声で答える。「実は今世ならざる処にて」と。
「かの源内も創り出せぬ奇天烈な仕掛け、危険もあろう。なれば、そなたしかおらぬ。行ってくれぬか?」
家老の求めに是と応え、藩士は時を駆けた。
「じぇっと機なるものがこれか。空気を循環させ鉄の翼に渦を巻き起こし、空を駈ける。理屈は調べたが、未だ信じられぬ」
西洋の知識豊富な発明家を名乗る人物がもたらした未来への馬に運ばれ、巨大な鉄の鳥に乗り込んだ。訳の分からぬ光景に揉まれながら、藩士は世話係の女史に声を掛けた。
「探しているものがあるのだ。ここでそれを求めてもよいだろうか?」
CAが「いかがなさいました?お客様」と訊ねてくるのに一度首を振り、藩士は椅子に座ったままで声を上げる。
「この中にお殿様はいらっしゃいますか?」
21世紀の旅客機、飛行機の中に、次代の藩主たる者がいるか否か。それは次の語り部の語るところである。
拙稿題名:侍、時を駆ける
総字数:605字
よろしくお願い申し上げます。
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