夜空を泳ぐクジラ【毎週ショートショートnote】参加記事
#毎週ショートショートnote 裏お題 #逆光のみクジラ 参ります。
人は時として屋上や丘の上、空に近い場所へと昇り、空を泳ぐクジラを探す。
現代、海、有害物質で満たされた海水に、クジラをはじめ生命の営みはなされなくなった。
空は透明なドームで覆われている。生活の場を人が住む惑星から他の星へと移すことができるのは、一握りの富裕層だけ。人々は昨日を振り返らず、今日を足下だけを見て過ごし、明日を諦めていた。
そんな人々の口端から漏れ出したのが「空を泳ぐクジラを見つけた者は、この煉獄から逃れることができる」という噂だった。
彼は鉄筋が剥き出しとなった無機質な階段を昇っていた。目的は屋上。25階の階段を上がると、古びたビルの屋上に辿り着く。
「やっと着いたか。さて……やっぱり、何もいないか。星すら見えない漆黒に、何かがいるはずもない」
そう独りごちて屋上から降りようとしていた彼の耳に、微かな咆哮が届く。
ふぉーん、おおーん。
夜景の光を背に受け輝く、空を泳ぐクジラの咆哮が。
拙稿題名:夜空を泳ぐクジラ
総字数:407字(原稿用紙1枚強)
#毎週ショートショートnote
#ショートショートnote
#逆光のみクジラ
#たはらかにさん
#企画参加記事
#お題で書いてみた
#やってみた
#ほぼ毎日note
#BingAI
いいなと思ったら応援しよう!
拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。