秋色パレット(54字の物語)【シロクマ文芸部|お題「爽やかな」】参加記事
小牧さん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
爽やかな風が私を旅へと誘う。
暑さを脱いで涼しげな様子で吹くそれは様々な色を身に纏い、風を感じるものは懐かしい光景をその向こう側に見るのだ。
真四角の原稿用紙に押し込められた言葉たちを辿る。記された文字は海馬により、海底のような回路へと運ばれ、仕舞い込まれていく。仕舞った記憶を取り出すとき、それは脳裡に降ろされたスクリーンに投影され、赤赤と火を灯す。
1枚の絵から、そんな取り留めのない言葉たちを思い浮かべた。言葉なら、真っ先にそれを見て欲しい、読んで欲しい人がいる。雅也が帰宅するまであと一時間。帰路についた私が、一足先に我が家へと辿り着くだろう。帰ったら、まずはお湯を沸かそう。おとっときの緑茶と、言葉を巡る思いを交わし合うために。
そんなことを思う私の、家路に向かう足は速まっていく。
拙稿題名:秋色パレット
総字数:409字
よろしくお願い申し上げます。
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拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。