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『橋のない川』を求めて。

こちらのお題に参加します。

『橋のない川』住井すゑ 有名すぎるほどに有名な全九巻の大作、映画化もされた住井すゑのライフワーク。ご存じの方も多いことと思います。
こちらのサイトをリンクします。

読むのに覚悟がいる作家。住井すゑと中上健次が、私にとってはそれにあたります。北海道という、ある意味「家柄」「血縁の上下関係」から解き放たれ、そうした諸問題から離れたところで育った私に、この問題が受け止められるだろうか。そう悩みつつ購入、平素は速読の自分の読むペースが亀の歩みになっていきます。

『橋のない川』を購入する時に起こった小さな出来事があります。思いつくままに記してみようと思います。
文庫版と単行本、その双方を入手したかった私は、単行本を古書に求めました(作者には(印税的に💦)申し訳なき次第なのですが、全巻揃えるとそれなりの金額になりますので。

さるオークションに出品している古書店が、『橋のない川』単行本全九巻を揃って出品していました。入札→落札 となり、取引連絡を始めたところ、先方から謝罪のメールが届きました。

"誠に申し訳ございません。本をお売りになった方が、倉庫整理で蔵書を全て売却、その際のひとつが『橋のない川』でした。私の品質チェックが甘く、今回落札いただいた本が非常に状態が悪く、全ページの変色、かび臭がある状態でした。本来ならば、お売りできぬもので、前店主である実父にも「それでもプロか!」と叱られました。
ですので、今回はキャンセルいただいてもキャンセル料は発生しません(全て当方の責任でございます)もし春永様が、このままお買い上げくださるご意向でしたら、この状態の悪さをご理解賜りたく存じます。その上で、販売価格を半額に致したく存じます。
大変ご迷惑をおかけしお詫びの術もございません。お手数ではございますが、ご確認とご連絡の程、何卒お願い申し上げます”

上記のような丁重な文面と共に添付画像があり、確かに数十年放置されていた本であることが見て取れました。
どうやら店主さんはお父様から通販業務を引き継ぎ、古書店経営も代変わりの真っ最中。中古品売買業者として修行中の様子でした。
私としては(消毒の必要は感じますが)状態が悪くとも読めたらいい。その上で新書を買い直すつもりである。
その旨を綴り、半額値引きにも了承して、再度落札する意向を伝えました。

丁重な御礼文と共に、商品が届きました。消毒アルコールの匂いを微かに遺しながら、状態が悪くカビ臭の残る『橋のない川』を、太陽の当たる窓際で「虫干し」し、再度アルコール消毒を繰り返しながら、私は思いました。
住井すゑさん。ある意味、この本の状態は貴女が訴えている(この時は住井さん存命時)あの状況に似ているのかもしれませんね。
そんな戯言を。

今は新品の本も所有する『橋のない川』。あの中古本全九巻は、今でも私の書棚、その一角を占めています。

そんな胡乱な読書を続ける私ですが、文学に興味がない、読む切欠を持てない方が「文学へと渡る」その架け橋、橋の敷板1枚になれぬだろうか。そんなことを不遜にも願っています。
橋そのものになぞ畏れ多くてなれぬけれど、せめて板1枚に。

#青ブラ文学部募集要項


①募集期間 : 2024.1.28(日)まで

②エッセイ、小説、詩、短歌・俳句、イラスト、写真など、形式や表現方法は自由です。

③タイトルあるいは文中に「」という言葉を入れてください。「橋」を含む熟語でも構いません。

④「 #青ブラ文学部 」のタグをつける。

⑤ひとり1作品。

⑥応募していただいた作品を紹介することがあります。あらかじめご了承ください。

こちら(↓)も今月28日まで募集しています。



#愛読書で自己紹介

お題 |「 橋」 / 青ブラ文学部(1.28まで)山根あきら|妄想哲学者🙄様 2024年1月22日記事より引用


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春永睦月
拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。

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