「交わる渇望」逆噴射小説2024・応募作品
ターミナル前の広場ではバザールが開かれ、様々な露天商が軒を連ねている。品物も様々だが、訪れる人もまた様々な彩りを帯びている。
「おい、オヤジ。あれ、持ってかれたんじゃないか?」
「え?何言ってんの、お客さん。……あっ!リンゴが一皿ねぇ!あの野郎、またやりやがったな!!」
「この野郎待ちやがれ」「待てと言われて待つ莫迦はいねぇよ」、そんなやりとりと追いかけっこも、この雑踏の中では日常茶飯事。誰も気に留める者などいなかった。
・ ・ ・ ・ ・
軌跡が見えた。
視角として認識する前に、体が反応していた。
荒々しい軌道を描きながら、全てを薙ぎ払うかのように巨剣が振るわれる。横から飛んでくる刃を、身を屈めて避ける。一瞬虚を突かれたように、剛剣の持ち主の集中が止まる。その機を逃さず、下から上へと、己の剣を振り上げた。
何かが目覚め始めていた。俺の奥底から、俺自身知らぬ何かが。
・ ・ ・ ・ ・
「あのガキ、どこ行きやがった。おい、聞こえてんだろ?出て来やがれ!」
露天商のオヤジが自分を探してわめいている。それを右から左に受け流し、オレは獲物をひとつ取り出しかぶりついた。
「出ろと言われて出る奴はいないって、相場が決まっているだろ?」
・ ・ ・ ・ ・
少年は力が欲しかった。強ければ欲しいものが手に入れられ、この貧しさから抜け出せると思っていた。
もうひとりの少年は、もっと早く動きたかった。相手に先んじることで、勝利をこの手にしたかった。
若さゆえの渇望。それもまたよくあることである。それぞれが、それぞれに欲する道を進み、それは交わらない筈だった。
喉の渇きを癒やそうと訪れた深夜の公園、飲料水用の蛇口をひねろうとする手に、別の手が重なる。それは交わらぬ筈の二つがぶつかり合う兆しだった。
(続く)
拙稿題名:交わる渇望
総字数:741字
よろしくお願い申し上げます。
#逆噴射小説大賞2024
#パルプ小説
#ダイハードテイルズ
#掌編小説
#プロローグ
#AIとやってみた
#AIでヘッダー画像をつくってみた
#MicrosoftCopilot
<©2024春永睦月 この文章は著作権によって守られています。AI画像はフリー素材ではありません。無断使用及び転載等はお断りいたします〉
(©2024 HarunagaMutsuki This text are protected by copyrigh.
AI images are not free materials, unauthorized use or reproduction is prohibited.)