吹き抜けたあとに残るものは【青ブラ文学部|お題「一陣の風のように」】参加記事
#青ブラ文学部 お題「一陣の風のように」、参加します。
突然、私の目の前に現れ、ひと夏の後に去って行った人がいる。一陣の風のように私の前から消えた、嵐のような人だった。思い出と呼べるほどのものは、私の中には残されていない。この部屋も去年の春と同じように、彼がいたときも、いなくなってからも、同じように殺風景なままだ。数少ない「落とし物」のような、残された1個のポストンバッグ。ずっとファスナーを開けていなかったそれを、今日はじめて開けてみた。
中から転がり落ちてきたのは1枚のディスク。
……彼は伝達者だったのかしら。何かのメッセージを私に伝えてくれる目的で、私の目の前に現れ、夏の嵐のように吹きすぎていった、心を揺さぶったまま、私をここに残して。
孤独を怖れるな、と告げる為に。
ディスクに収められたPVが終わった。私は部屋の鍵だけを持って外へ出る。そのまま非常階段を駆け上がり、マンションの屋上へと出た。平素は閉鎖されているドアを開ける。防災担当者である私は、この鍵を管理組合から預かっている。本当は私用で使うことは御法度なのだけれど、これは単なる私用じゃないからいいのだと、自分に言い訳をして。
柵に背を向け、風を感じる。
勿論、屋上からバンジージャンプをするつもりなどない。ただ、この日常から自分を引き剥がしてみたくなった。一陣の風。それを待つのではなく、一陣の風が吹き抜けるような、そんな生き方をしてみたいと思った。
拙稿題名:吹き抜けたあとに残るものは
総字数:634字(原稿用紙一枚半相当)
よろしくお願い申し上げます。
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