育児における親(とか祖父母)の呪縛
実の母親(もしくは父親)が子育てに口を出してくる。意見が合わないから辛い。チクチクと言われるのが引っかかる。
こういう人って、実は結構多いのかな。
義母はともかく(言うても他人なので)、実の親に対して。むしろ実の親だからこそうまくいかない、という人も知ってる。
かく言う私は、うまくいってるといえばいってる方なんだと思う。まず母親は、あまりその手のことを言ってこない。私の職業が助産師ということもあるからか、基本的には私の育児を尊重して手伝ってくれている。
いつだったか「保育園に10時間近く預けてるなんて可哀想」と漏らしたことはあった。私は何も言わなかった。まぁそうだよなぁ、と思った。だってお母さんは私が4歳で幼稚園に入るまで、家でみてたんだから。(覚えてないけど)その後、数週間実家に長期滞在したら、その意見は見事に翻った。「これは大変だわ…」とつぶやく母を見て私がニヤッとしたのは内緒の話。
うちの母はとても柔軟な人で(単純で騙されやすい気もするけど)還暦を過ぎた今も、新しい意見をどんどん吸収して、やりたいことにチャレンジして人生を楽しんでいる。母のような人だからこそ、「今時の育児」もすんなりと受け入れているんだと思う。
そして私のことをずっとちゃんと「子ども」にさせてくれている。だから私は言いたいことは全てはっきり言ってしまうし、イライラしたり、怒ったり、マイナスの感情も全て当たり前のようにぶつけてしまうのだけど、すべて緩衝材のように受け止めてくれている。
だから私は安心して母の前では子どものままで、息子を育てることができてるのだと思う。
父はと言えば、絵に描いたような昭和の人である。孫のことはとても可愛がってくれてるけど、私の場合父こそが意味がわからない育児アドバイス?をしてくる。
最近言われた父のびっくり発言を紹介しよう。
平均よりも小柄な息子を捕まえて
「◯◯(息子)が大きくならないのは、はるながお菓子をあげないからだ」
Say that again?
父よ。
なんかもう色々めんどくさいから「そうだね」って言って、心の中で「こいつ何言ってんだ。冗談なのか正気なのかわかんねーよ」と思っていた。
それから「ひとりっこだからわがままなんだ」などという炎上発言もちょいちょい挟んでくる。お願いだから外でそんなこと言わないでくれよ、とは思うけど、私は父のそういう言葉にモヤモヤしたこともなければ腹が立ったことも一度もない。ただネタにはしてる。(ごめん、父)父の育児アドバイス語録をかき集めたら、面白いのができると思う。
そしてうちの母方の祖母も、なかなかの問題発言BBAである。「まだ1歳くらいで人に預けて働くなんてかわいそうだね」とか、そのくらいは当たり前のように言ってくる。うちの祖父母は自営業で、母の話を聞いている限り、母はほとんど祖母(つまり私の曾祖母)に育てられている。なのでこの発言は聞き捨てならなかった。「ばあちゃんだって、ひいばあちゃんに子どもみてもらいながら働いてたでしょ」と返してみた。悪びれる様子はZEROで「確かにそうだねぇ」という祖母。
祖母は母乳かミルクかという母親にとっては割とデリケートな問題にも突っ込んできた。私が母乳で育てていると言った時に祖母は「母乳がいいよね」みたいなことを返した。
その後に続けてこう言ったのだ。
「私は産んですぐの頃おじいちゃん(祖母の父。つまり曽祖父)に”出ねぇ乳吸わせてるくらいなら働け!”って言われてね。もっと母乳あげたかったけど」
びっくりした。ひいじいちゃんも、かなりの問題発言ジジィだった。と、同時に年配の人の発言に関して合点がいった瞬間でもあった。80代くらいの人の問題発言ってメディアでも多く取り上げられているけども、仕方ない部分もあるのかもしれないな、と思った。生きてきた時代が全然違うのだ。学んでいるモラルが違うのだ。祖母にとったら、自分の発言のどこがそんなに問題になるのか、分からないのだ。
人類って全体的に少しずつ進化してるでしょ。精神的にも肉体的にも。考え方も知識もアップデートが必要だってこと。
それで言ったら、親世代の育児の知識も考え方も、言ってみれば「オワコン」なんだよね。それでいずれ私たちが必死で今学んでいる知識も、自分達の子どもが子育てする時代には「オワコン」になってることもあるんだと思う。
ずっと変わらないものは「子どもを思う親心」だけなのかもしれない。でもその大切な物を表すための「ツール」が世代によってちょっとずつ違っちゃってるだけなんだよねぇ。
なんて思ってるからなのか、父におったまげ育児アドバイスをされても、普通に流せるし、祖母の話は時代が違いすぎてもっと聞いてみたいな、なんて思えるのだ。
ただ、私が親や祖母に対してこんな風に思えるのは、やっぱりいつまでも子どもでいさせてくれてるから。そして関係性が良いから。これに限ると思う。自分の親に、言いたいことを言える関係性じゃない人だって、たくさんいると思う。
でもこれだけは覚えておいてほしい。親世代の育児と今の育児は違ってる、なにもかも。でも子どもを思う気持ち自体は変わらない。だからみんな一生懸命になって、時にぶつかってしまったりする。
そして、あなたはあなたの人生を生きてよいし、子どもには子どもの人生がある。
さぁ、どんな選択をする?