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全ての人に石が必要だ
昨年(2018年)2月から1年間、やってきた「オトナのための文章教室」を、次の金曜で、いったん終える。「教室」といっても、ただ好き勝手に書いてきたものを読み合って、いろいろ語り合うというだけの自由な場で、準備が大変なわけでもないしお金もたいしてかからないから、気が向けば(それに「いっしょにやろう」とか「やってほしい」という人がいれば)またやりましょう。
そこで、たまに話題になっていたことのひとつに、"人間以外のものとの交流"がある。
たとえば、風と話をするようなことが、この社会に生きていると、つい忘れられがちになる。いや、そんなバカなことを…とすら言われかねない。
ぼくは疲れると、海を見に行きたくなったり、山を歩きたくなったりする。海や山まで足をのばせない時には、川でいい。川なら、もっと身近にある。
4歳10ヶ月の息子は、出かけると、よく小石を拾ってくる。
ぼくも、出かける度に石を拾ってくることこそないが(幼い頃の自分にはそれくらい勝手にやっていてほしい)、海や川を見に行き、石や貝殻を拾ってくることはある。
これは、お世話になった作家・小川国夫さんが亡くなった後、焼津の浜をひとり練り歩いて、海の風に吹かれて過ごした春の朝に、拾った石。ずっと、大切に手元に置いてある。
時々、この石を手に置き、手のひらに包んだり、眺めたりする。
松木正さんの本によると、(インディアンの)ラコタ族に、
Everybody needs rock.(全ての人に石が必要だ)
という格言(?)があるらしい。
「誰もが助けを求める権利がある」と話すところで出てくる。
ぼくは石と話をすることがあるから、何だかそのことばがスッと入ってきた。
結婚前、妻(となる女性)が初めてぼくを(いまも住んでいるところの近所にある)根岸森林公園に連れて行ってくれた時、彼女は"仲良しの木"を紹介してくれた。
何かあると、その木と話しに行っていたらしい。
木と話す、というのも、何だかわかる気がする。たまに、晴れた日に、地面に(芝生とかに)寝転がって過ごすことがあって、土とも何か感じ合うことがある。
(つづく)
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