その後の「峠」
一生おなじ歌を 歌い続けるのは
だいじなことです むずかしいことです
あの季節がやってくるたびに
おなじ歌しかうたわない 鳥のように
(岸田衿子「一生おなじ歌を 歌い続けるのは」)
今日は父母と息子、妹と5人で霧島神宮へ初詣に行き、妙見温泉のとある宿の日帰り入浴で温泉に入ってきました。こんなにのんびりした正月は何十年ぶりだろうと思いますが、ゆったりできました。たまには、いいですね。現実から離れてこの数日過ごしましたが、明日の夜には戻ります。
これも実家の本棚から。小〜中学生の頃に、この本と出会えていなければ、私の人生はもう少し違ったものになっていたかもしれない、と感じるほどの本が、『兎の眼』と、あとはこの『詩のこころを読む』です。
さまさまな素晴らしい詩が紹介されているというのもありますけど、この本が人生の全体を照らし出そうとしているのは大きかったと感じます。
はじめに
生まれて
恋唄
生きるじたばた
峠
別れ
これが『詩のこころを読む』の大まかな目次です。はじめて読んだ中学生の頃は「生まれて」に共鳴が大きく、じつは「恋唄」に関心が深かったのですが、「生きるじたばた」の、いわば中年的な詩はいまいちよく感じられませんでした。でも、その後の「峠」はよく読める気がしていました。
その冒頭に、岸田衿子さんの2編があります。ひとつは冒頭に引いた「一生おなじ歌を 歌い続けるのは」で、もうひとつは「小学校の椅子」です。
(つづく)
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