「君の顔では泣けない」君嶋彼方著の感想
これ、新人さんなの?すごい完成されてるし、文も構成も独りよがりじゃなくてしっかり芯が通ってて読みやすい。
新人作家さんって、未来の可能性を見出されてデビューする人が多い印象で、デビュー作は荒が目立つ人が多いと思ってる。それが魅力でもあるし、今後に期待!っていう楽しみでもあるけど。
最初の数ページは、ん???っていう感じの違和感があるけど、そこで諦めずにそのまま読み進めていってほしい。
男女間の入れ替わりなんてエンタメでは使い古されたネタだろうに、ここまでリアリティを感じるのも珍しい。
入れ替わったことによって起き得る当然の事を作者はとことん書き綴る。
当たり前だけど私は他人と入れ替わったことは無いので、そうか入れ替わるとこう言うこともあるんだ!とガツンと来た。自分が望んでこうなった訳じゃないのに、受け入れる以外の選択肢が無い。不自由だし、誰かに話してスッキリすることも出来ないし。そりゃ八つ当たりもしたくなるよね。
こういう、設定は荒唐無稽なのに、その後の話は痛いくらいリアルな話好き。自分だったら…と置き換えて考えるし、改めて周りの人を大切にしようと思う。
もっと早く読んでたら今年の本屋大賞に投票したのに!!