ラッセル・ウェストブルックのポップコーンの件
先日、プレーオフ1stラウンド[ワシントン・ウィザーズvsフィラデルフィア76ers]の第二戦、事件が起こりました。
足首を負傷し、ロッカールームに下がるウェストブルックの頭上からポップコーンが振りかけられたのです。
※画像は激昂し、スタッフに抑えつけられるウェストブルック
何故、こんなことが起こったのか。アメリカのスポーツカルチャーと当事者チームの76ersについて解説します。
◾️NBAプレーオフの熱狂とコロナの影響、アメリカにおけるスポーツ
NBAは世界でも最も人気のあるリーグです。
地域性も強く、地元チームが強い時の地元住民、街は本当に大熱狂です。特にプレーオフでは計り知れません。
今年は、昨年無観客で行われたプレーオフを乗り越え、人々も長きにわたって我慢を強いられたコロナの自粛から解放されて観戦に臨んでいるので、歯止めが効かない部分もあり、このようなことが起こったのかと思います。
また、アメリカのスポーツファンは、チームと一丸になる度合いがめちゃめちゃ高いです。自チームのグッドプレーには大歓声を、相手チームには思いっきりブーイングやヘイトをします。過激、節操がないとも思われがちですが、ほとんどがチームの愛からへの行動です。今回のように本当に行き過ぎた行動も稀に見られますが、76ersは該当ファンのシーズンチケットを剥奪、無期限の会場への出入り禁止と厳しい判断を下したことからアメリカでも「間違っている」というのが一般認識だということは知っておいた方が良いでしょう。
◾️アメリカでのブーイング
少し前のウォリアーズ対ラプターズのファイナルで、デュラントがアキレス腱を切って退場しました。もちろん、デュラントはウォリアーズの中心でいなくなればラプターズに有利に運ぶことは間違いありません。ラプターズファンは大歓声を上げました。
そのときは、ラプターズのラウリーが観客に静まるように働きかけたことで収まりましたが、やはり相手のエースが怪我をする、というのはファンにとって「嬉しい」ことではあるのです。自チームの勝利の可能性が上がるのですから。それでも、ある程度のモラルやスポーツマンシップはファンにも要求されるものです。
このように、以前にも怪我をした選手に対して酷い仕打ちをした、ということはありました。食べ物をぶつけるなど、ウェストブルックに酷い仕打ちをしたのは許されることではありませんが、過激な応援の延長線上にそういったものがあるのです。
◾️76ersの歴史とファン
76ersのファンは相手に厳しいのはもちろんですが、どうやら自チームにも厳しいようです。ベン・シモンズはそのポテンシャルを考えなければ、今でも十分な活躍をしていると思いますが、それでもシモンズに対してきついことを言うファンは多くいるそうです。シモンズも「いつものことだ、黙って見とけ」くらいにあまり気にしていないようです。
また、76ersといえばNBAの歴史の中で割と強い時期が何度もありました。ドクターJ、チャールズ・バークレー、モーゼス・マローン、最近ではアイバソーンなど時代を代表する選手も何度も所属したチームです。そんな76ersにとってここ10年くらいの歴史は非常に苦しいものでした。
アイバソーンの退団、最低勝率記録のようなシーズン、いつまでも成功しない再建…そんな中、ここ3年はエンビードとシモンズを中心にかなりチームは上を向いています。特に今シーズンは、シーズンを1位で終了し、エンビードはMVP候補筆頭です。
ずっとこの時を待っていたファン。プレーオフでも好調の76ersを応援する中で、越えては行けない一線を越えてしまうほどに高揚してしまったのでしょう。
◾️ラッセル・ウェストブルックのポップコーンの件〜まとめ〜
今回、僕なりに何故こんなことが起こったのかを考えてみました。いろいろ理由を述べたのでもしかしたら勘違いしている方もいるかもしれませんが、僕はこの事件めっちゃムカつきました。生で試合を見てて、何や何や、となって後で詳細を知ったのですが、やはり負傷退場する選手にああいったことをするのは僕はどうにも嫌いです。僕自身も何度か大怪我をしたことがあるので、怪我をネタにするのはあまり好きじゃありません。そもそも僕はラスが好きです(笑)
でも、これで一概に「アメリカは〜」や「NBAファンは〜」や「76ersファンは〜」と一括りにバッシングをしてしまう人がいることも嫌なので、こういった背景で起こったのではないか、アメリカではこう思われている、というのをちょっと書いて、あくまで一部の過激なファン(ファンと呼んで良いかもわかりませんが…)が起こした勝手な行動だということは知っていてほしいな、と思います。
NBAプレーオフはまだまだ続きます。どこが優勝するかどころかほとんどのシリーズでどちらが勝つかわからない、と言う非常におもしろい年なのでめいっぱい楽しみましょう!