春が来る
3月31日。
明日から新しい年度が始まる。
新しい学年に上がる、社会人になる、新入社員が入ってくる、子供が保育所に入るなど、環境がガラッと変わる人が多いんじゃないだろうか。
世間が大きく変わろうとしている時、私は相変わらず布団に閉じこもっている。
布団にといっても、出かけるし、ゲームもするし、笑いもする。
でも心の拠り所となるお布団にしがみついて、いつでもしんどくなったら逃げ帰れるようにしている。
すぐに逃げ帰れない距離には飛び出さないといった方が正しいかもしれない。
再休職を決めた時、自分があまりに情けなく感じ、友人にお茶に行ってくれるよう頼んだ。
1週間後に時間をとってくれた友人と2時間ほど話した。
何か私からの報告があると思ったらしく、私が再度休職することになった旨を伝えると、
「…。そっか。無理しないでね。でも笑ってるし、思ったよりも元気そうでよかった。」
と言われた。
他人に会う時はできるだけ気分を害さないように笑うようにしているし、今の私は何もかもに絶望している鬱状態ではないため外に出歩いて行けているのだけれど、何とも説明しづらい。
休んでから、職場へ一度連絡した。
私の席の番号へかけたと思ったが、出たのは別の係の先輩だった。
課長がいなかったため、時間を改めて再度電話をかけたが、出たのは先ほどと同じ先輩であった。
電話番号を登録し間違えたかと思った。
先輩は「間違ってないよ、この番号は君の席の番号だよ。」と言った。
回線が混線したか、私の係の人が1人も手が空いておらず、別の係の先輩がやむなく出たのかなどと考えたが、私は一つの解に辿り着いてしまった。
私の席に先輩が座っている。
私がいない分の仕事を先輩が行なっているのだと悟ると同時に、私の居場所は無くなったんだと感じた。
そりゃそうだよな。この短期間に休んだり出たりを繰り返して、挙句一番忙しい年度末にいないんだもの。
頭ではわかっているけど、心が追いつかない。
もし、これで私が復職しますっていった場合、私はどこに復職するんだろうか。先輩のいた係だろうか。それとも元の係に復帰して、でも仕事はほとんど回ってこないような形になるのだろうか。
考え出したらどんどんと追い込まれた。
先輩が私の代わりにヘルプに入っており、それは3月31日までだという情報は、他の課のおじちゃんから聞いた。私の想像は外れていなかったが、期間限定であった。
ただ、明日からはヘルプじゃなくて正式に係を異動してくるのかもとか、私のやっていた仕事は、ひょっときてヘルプができるくらいのことだったのかとか、居場所がなくなる前に早く戻らなきゃとか、頭の中がぐるぐるしている。
今考えたって、どうせ無駄なのに。
数日前までは、元気だから休職期間を切り上げて復職できるんじゃないだろうか。次の通院時に先生に聞いてみようなんて思っていたのに。
あっという間に塗り替えられる気分にうんざり。
結婚します。
引っ越します。
仕事が変わります。
同じ係に元彼が異動してきます。
周りの人の環境が大きく変わる春。
過ごしやすい気候の春。(花粉症、お前だけは許さねぇ)
環境が変わることが苦手なのは鬱になる前からだけれど、以前は一緒に感じていたワクワクが全くない。
今年は不安しかない。
世間が大きく変わって、私だけが変わらない、今日に取り残される気分。