あてもないとまり木②　・・・ご先祖様に遊んでもらっちゃったね

　娘のルーツの住所に行くと、田んぼと畑の中に１軒家が建っていた。
古い古い家だった。
もしかしたら、娘のおじいちゃんはこの家で生まれたかもしれないと思った。
今もどなたかが住んでいる構えだった。
家の外に、どなたかが偶然出て来られたら、話してみようと思って家の前を３回ほど車でゆっくり通ったけれど、人には会えなかった。

近くにお寺があったので、お寺によって話してみようかなと思って
『ちょっとそこのお寺に寄るね』
と娘に言うと、

「えーっ。　ままはお寺が好きだから楽しいかもしれないけど、ずっと車乗って疲れた。もう外で遊びたいっ。」

まぁ・・・　そうよね。
そう言う気持ちはわかる。
けど、せっかく旅に出てせっかく住所の土地に古い家がまだあるのに、
せっかくそばにお寺があるのに、
お寺に行ったら多分何かわかるのに。
娘のルーツを伝えてくれるひとは近くにいないので、
せっかくここまで来たのだから、もう少し詳しく知りたいって思ったのに。
娘に伝えたいって思ったのに。
わたしも、嫁ぎ先のルーツを知りたいって思ったのに。

と言う気持ちが溢れてしまって、
そのまま勢いつけて娘に言ってしまった。
そしたら負けずに勢いよく返事が来た

「じゃぁっ　いいよ。ままの言う通りで。」

『いいよ。それなら。公園探していこ。』

「いいよお寺行こう」

『いいよ。またこよう。津山。次の時にお寺行くから。』

ぷんぷんしながらお互いに譲り合って、
ぷんぷんしながら車で走って公園を探して
グリーンヒルズ津山という看板を見つけた。

多分公園なんじゃない？
大きな駐車場で車中泊もできそうだった。
駐車場からアスレチックと広い丘が見えて、わたしも娘もあっという間に晴れやかな顔に戻って2人でわ〜いと外に出て遊んだ。

グリーンヒルズ津山のアスレチック

娘が小一時間アスレチックで遊んでいるのを眺めたり
時折一緒に遊びながら、
さて。
このあとどうしよう　と考えていた。

家に帰ることもできる。
北へ。出雲に向かうこともできる。
けど、宿はどうしよう。
南におりてもいいのかも。
どっちにしても宿はどうしよう。
わたしも疲れていて、不自由な体勢で無理に車中泊したら翌日運転できても、娘にチクチクした言葉尻で話しかけそうな気がする。

宿を探してみた。
ここへ行くとしたら、あそこへ行くとしたらと頭なの中で考えて
色々夢中になって探していて、頭と目が疲れ切って、決めた。
今日は岡山に泊まろう。

宿泊先を決めたので、安心してウクレレを出して木の下で歌を歌った。
すると、娘が
「まま　写真撮りたいから携帯貸して」

娘に言われるままにポーズ

「あっ　　いいこと考えたー
言葉を言いながら短い動画撮ってくっつけたい〜
それで、そのあと　ままが歌えばいいんじゃない？」

ふむふむ
いいよ　好きなようにやってごらん

グリーンヒルズ津山のあちらこちらを歩き回って、たくさん写真や動画を撮っていた。
「まま　楽しい。　こうゆうのをしたかった。」

夕陽が沈む直前まで津山で遊んだ。
「今日はご先祖様にたくさん遊んでもらっちゃったね」

撮ったものをくっつけて、娘のイメージの動画を作った。津山での制作遊び。

「明日世界が終わっても今日は花の種を蒔こう」

夜の一般道を走って岡山へでた。
ここもまた娘のルーツ。先祖のお墓がある街。
わたしは一度だけ夫に連れてきてもらったことがある。
でも、今はその場所がわからない。
路面電車の走る道路が近くにあって、山の上で、帰りにすぐそばで大手饅頭をお土産に買ったことだけ覚えている。
そんな話を娘にする。

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