あてもないとまり木 ・・・旅に出ようか
娘が10歳になり、私にも娘にもいろいろな心と体の成長と変化が目に見えて起こってきて、いつまでも子どもじゃない、いつまでも若者じゃないんだと思うことが多くなった。
ちゃんと歳はとっていくんだね。てるみんも。
すると。
今やらずにいつする?
とタイミングに耳をそばだてて感じたくなることも増えてきた。
わたしとして。
親子として。
特に、何かをただ純粋に
大喜びで2人でできる時間は案外短いかも、と思うようにもなった。
それで
今まで以上に、娘との時間を大切にしている。
べったり一緒にいることを大切にしているのではなくて。
離れて過ごす時間や、そばにいる時間や、そのタイミングを、よく感じようとしている。
わたしなりに。
夏の暑さが厳しくて、あまり思いきり動けなかったので、いい季節には躊躇しないで行こうと思って、10月は車で、かっちりと決めない旅に出ようかと思っていた。
できれば行きたいと思う場所があった。
長野県駒ヶ根市の「風の谷絵本館」
昨年、8年ぶりに訪れて
また来年必ず来ようと思っていた。
昨年絵本館を訪ねたのは
館長のあきらさんが膵臓がんで余命半年と聞いたからだった。
あきらさんとの出会いは30代前半。
きっかけは
十五夜の大きな月の前を手をひて歩く親子とウサギの臈纈染め(BOOの作品)で、運命とかご縁とかってほんとにあるんだなぁと思う出会いだった。
その後
当時住んでいた横浜から、年に2度3度絵本館に行って、臈纈染め展をさせてもらったり、ライブをさせてもらったりした。
最後の臈纈染め展とライブは2011年秋だった
あきらさんは
今年に入って亡くなられた。
パートナーのかずえさんが葉書をくださった。
わたしは、その返事を書けなかった。
今も
今日も書けずにいる。
昨年、娘を連れてあきらさんに会いに行った時はバスと電車を乗り継いで行ったけれど、せっかく行くならもっと自由に動き回りたくて、次は車で行こうと思った。
でも、
運転1人でいきなり長野へ車の旅は自信がなくて躊躇していた。
出発予定の前日まで迷いに迷って、
わたしの体調と娘の体調を考えて、
長野への旅は見送ろうと決めた。
でも練習に、日帰りも可能な範囲での車の旅をしてみることにした。
目的地はどうしよう。
う〜〜〜ん。
それも決められず
色々なことを想像すると頭がぐるぐると回って眠れないまま出発の朝になった。
「ねぇママどこに行くの?」
うんとね。
北と南と西と東、どっちに行きたい?
「えっ? わかんないよー」
そうだよね。
じゃぁ 反対側の海まで行ってみようか?
そう言って地図を広げたら、反対側の海岸を指でなぞると出雲大社があって心が動いた。
うちから出雲大社までの道筋を指で辿っていくと、「津山」を通ることがわかった。
「津山」は娘の父方の先祖のルーツで、娘の父の本籍は明石に転居する前まで津山だった。
いつかは、娘を連れて行こうと思っていた津山。
行き先は津山。
今回の旅のテーマは 娘のルーツ、娘の先祖の見た景色を辿る旅になった。