![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46116266/rectangle_large_type_2_7c1a782770f0010fbde82e2e42393a53.jpeg?width=1200)
モブAの私の幸せ
子供の頃、ドラゴンクエストが大好きだった。
伝説の勇者に選ばれるたった一人の存在。
英雄の血をひく子孫。
天空から降りてきた勇者。
いわゆる「女の子」があこがれるお姫様にはあまり興味がなくて
いつか世界を救う勇者になりたかった。
ま、なれるわけないんだけど。
私は勇者の血もひいてないし、魔王は襲ってこないし、
っていうかスライムが出てきたって倒せない自信あるし。
でも何かそういう「特別な存在」、にあこがれていた。
割りと誰にでもある感情なのかもしれないけれど、
たぶん究極の承認欲求
誰かに、みんなに、世界中に、すごいね、唯一無二だねって
言ってもらいたかったんだと思う。
ただそういう存在にばかり憧れて、
どうすればそうなれるのかとか、
自分に何ができるのかとか、
どうやって生きていくのかとか、
何も考えず、憧れだけが肥大化して
そうじゃない現実に幻滅して、
でもそれをバネに別に何か努力するわけでもなく毎日は過ぎていって、
年齢ばかりを重ねてそれでもあこがれは消えなくて、
現実を生きてるのがとにかく苦しかった。
テレビをつければ、ネットを見れば、
天才も特別な存在もたくさんいて、みんな唯一無二で
ただそうあれない自分にまた苦しくなる。
生きてる意味なんてないと言われているようで、苦しかった。
・・・誰もそんなこと、言ってないのにね~!!
勝手に自分で自分の理想だけ押し付けて苦しんでたんだなぁと思う。
本当は街の人Aにも、道具屋にも、宿屋にもそれぞれの役割とか
幸せがあるのにそれに気づけなかったというか、
それに価値がないと思っていたというか。
何にもなれないことに気づいたときに、
何かになる必要にないことにやっと気づいた。
今住んでいる街には近くに遊園地がある。
そこでたくさんの人たちが笑って過ごしているのを見ているのが好き。
13時を過ぎると、窓からベッドの方に日が差してくる。
その陽だまりのなかでまどろむのが好き。
きれいにアップできるような写真は撮れないけれど、
自分で作った料理は最高においしい。
やっと等身大の幸せが見つけられたんだと思う。
世間から見たらモブだとしても。
いいなと思ったら応援しよう!
![yulia](https://assets.st-note.com/poc-image/manual/preset_user_image/production/i1bbf72cee783.jpg?width=600&crop=1:1,smart)