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読書記録32📚「カラスの親指」道尾秀介
<あらすじ>
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。道尾秀介の真骨頂がここに! 最初の直木賞ノミネート作品、第62回日本推理作家協会賞受賞作品。
<レビュー>
⭐️⭐️⭐️⭐️
前回「向日葵の咲かない夏」の作品中の表現描写がグロくて、少しビビりながら読み始めましたが、「カラスの親指」は、ごく一部グロテスクなシーンはあったものの全然問題なかった(ほっ)
主人公の武沢(タケさん)は過去、ヤミ金に手を出してしまって、ついには自身もヤミ金の組織に属してまで返済を続けていた。そこで色んな辛い経験をして、心が真っ黒になってしまう。何もかも嫌になったタケさんはヤミ金から足を洗って、現在は詐欺師となって身を隠しながら細々と暮らしている。
そんな中、テツさんという、頼りなさげな鍵屋のおじさんがひょんな事から詐欺の仲間に加わるようになり、二人で詐欺活動をすることに。
活動を続けていると、ある可愛い女の子(まひろ)がスリする瞬間に出会ってしまう。そのスリが失敗に終わりピンチな状況に陥るまひろ。同業者ということで、二人が彼女を助けて話を聞いているうちに、なんと二人の家に住まわせる事になりました。
そこから何やかんやあって芋づる式にマヒロの姉のやひろと、その彼氏の貫太郎も転がり込んできて、ついでに可愛い猫ちゃんも拾って5人と1匹暮らしが始まる。
タケさんが昔つるんでたヤミ金組織のトップであるヒグチが刑務所から出てきた時期から、タケさんの周りで不可解なことが起き始め、命の危機を感じた5人は、ヒグチを筆頭にしたヤミ金組織撃退作戦を始める…!
と言った内容。アンハッピーエンドで読み終わった後は暗い気持ちになりそう臭がぷんぷんしていましたが、読み終わると全くそんなことはなかった。むしろ真逆!天才ミステリ作家道尾秀介、さすがです、と思わせてくれるほどのどんでん返し系の逆転劇、すっきり終わるハッピーエンドです。
ここ、最後回収されそうやなっていう伏線と、何の違和感も抱くことなく見落としていた伏線がありましたが、それら全てひっくるめて余すことなく綺麗に最後回収されていった。
向日葵の咲かない夏より、はるかに私好みのストーリーでした。
後半は主に5人の力を合わせてヤミ金組織に立ち向かうというストーリー。危機一髪シーンが割とあってヒヤヒヤしながら読み進めていく。応援もしたくなるから全然止まらなくなる系。
もう少しストーリーを短くしてくれたら一気読みできるんですが、少し長くて途中中だるみしてしまいそうやったっていう点を鑑みて⭐️4つです。
映画化されてるらしく、タケさんが阿部寛、テツさんが村上ジョージらしくてどっちもばりハマり役やんってなった!見てみよっかなー。
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次は、この週末のために大事にとっておいた、久しぶりの朝井リョウさんの小説を読みます!楽しみ😌