読書記録38📚「傲慢と善良」辻村深月
<レビュー>
⭐️⭐️⭐️⭐️
洗濯が終わるのを待ちつつ、トーストをかじりコーヒーをゆっくり飲みながら、先日読み終わった小説について考える、そんなよく晴れた冬の土曜日の朝です☕️(我ながら優雅)
若い時はひくて数多で女性には困らなかった架ですが、結婚のタイミングを逃した後は、主にアプリで将来のパートナーを探していました。そこで真実(まみ)という女性に出会いプロポーズ。しかし、婚約者の真実は突然その姿を消しました。真実を探す内に、生きづらい現代を生きていた彼女の本当の姿を知ることに•••という物語。
婚活とは言わないまでもマッチングアプリ等のような現代的な出会い方で、恋人を探したことがある人は、共感するポイントが沢山ある小説だと思います。
私自身もマッチングアプリで何人かの男性と会って食事に行ったことがあります。幸い、良い人ばっかりで(変わってんな〜〜って思った人も中にはいました笑)、特に嫌な思い出はないのですが結局アプリを通してお付き合いする人は未だにいません。
何故交際までに至らないのか…?
というかアプリを活用すれば、そりゃあ色んな人に出会えるけれど「好き」という感情を抱くのは難しくないか…?
みたいなモヤモヤを抱えている私に、婚活で苦労する架という登場人物を通して、ヒントを与えてくれる、そんな小説でした。
現代人が悩んでいそうな問題を見事に言語化してくれていた文章が多くあったので、その中でも特に響いたものをここに記しておきます。
•「ピンとこない」の正体はその人が自分につけている点数。その人が無意識に自分は何点と付けた点数に見合う相手が来なければ、人はピンとこないと言う。ささやかな幸せを望むだけと言いながら、皆自分につけている点数は相当高い。ピンと来る来ないの感覚は相手を鏡のようにしてみる自身の自己評価点。
•「真面目で誠実」は結婚相手への褒め言葉だが、現実の婚活ではそこが最初のネックになってしまうことも多い。
→たしかに真面目な人よりもちょっとチャラいくらいの方が話が面白くて惹かれがち😮💨
•相手のいいところではなく、断る理由になるような悪いところ、選ばない理由をむしろ探してしまうようなことが、架自身の婚活でもよくあった。それが傲慢であったことも今ならよくわかる。
•自分の意思や希望はないのに、好みやプライドと、小さな世界の自己愛があるから、自由になれない。しかしこの世の中に自分の意思がある人はどれだけいるだろう。
•自己評価は低いくせに、自己愛が半端ない。
→この言葉、かなり納得。まさに私自身に指を差されているような衝撃でした。私も含めてだけど、そうゆう奴、周りにいっぱいおるわ〜〜。
•うまくいくのは、自分が欲しいものがちゃんとわかっている人。自分の生活を今後どうしていきたいが見えている人。ビジョンのある人。
→婚活問わず、これは人生の全てにおいてですよね。
——
物語は大きく2部構成。第一部は真実を探して色々な過去を知っていく架が主人公。第二部はその間真実がどこで何をしていたか、またどんな思いで過去を過ごしていたか、第一部の答え合わせのようなイメージ。第一部は現代人が抱える不安等を生々しく書き上げていて、思わずうーんと唸ってしまうくらい考えさせられる箇所がちらほら。第二部からは一気に小説っぽい展開になります。
あと、現代人が抱える問題として、出会いや婚活の他、いつまでも娘を自立させない毒親?の話も出てきていましたが、基本的に私の親は放任主義だったため、まあそうゆう家庭もあるよな〜くらいの気持ちで読みました。
———
ここで、せっかくの機会なので私自身の恋愛を振り返ってみます。
よく「B専」と言われるw
それもそのはず。自分が好きになったらそれでよくて、あまり顔にはこだわってきませんでした。
周りの人たちにそういう風に言うと、あまり悪い印象を持たれない、というか、むしろ好感を持ってもらえるなといった感じ。
もちろん上に述べたことは嘘ではないのですが、今回は私のB専気質についてもう少し踏み込んで考えてみます。
まず、好きには2パターンあると思っています。キュンキュンときめく系の好きと、もう一つは一緒にいて落ち着けるか、今この発言をしたらどう思われるか?なんて心配することなく、自分が最も自分らしくいれるかどうか、という類の好きです。
私の場合、後者の安心感を抱けるが重要で、そして、この安心感を抱ける人に共通しているのが、皆んなが納得するようなモテモテ男子ではなく、え、その人でいいの?みたいな人らしい(笑)
もちろんかっこよくてハイスペックな人に惹かれるは惹かれるし、そうゆう人が彼氏になったら周りに自慢もできるんだろうけれど、そもそもそうゆう人は私の事なんか眼中にないだろうし、一緒になったとしても無理することが多くて、色々と精神面でしんどくなりそう。
それに比べて顔もスペックもそこそこの人には気後れせず、常に等身大でいれる。まあそりゃそうだよなって話なのですが、私の場合、この気後れしないラインがおそらく人より低いのだと思います。
ここで、「自己評価は低いのに自己愛は強い」に繋がるのかな〜とぼんやり思いました。
「ピンと来る来ないの感覚は相手を鏡のようにしてみる自身の自己評価点」ならば、周りからその人でいいの?って言われるような人を選んじゃうくらいには私は自己評価点が低いということ。また、皆んなが認めるような男前だったりハイスペックをな人を避ける理由は、一緒にいることで自分が傷つきたくないからだという自己愛がベースになっている。
これが良いか悪いかは置いといて、そういう軸が一貫されてたから、数年前までは割とすぐ彼氏ができていたように思います。
が、マッチングアプリに限らず、最近は合コンでも友達からの紹介でも、まずは容姿やスペックといった条件を見てから会うかどうかを決める、みたいな出会い方が増えてきていると思うんです。
そうなった途端、私の軸は一気にブレます。条件から選べるなら、とことんそのメリットを活用して、わかりやすく経営者とか弁護士とかThe ハイスペ狙うか!と思った翌日には、現実的に考えて真面目な会社員路線で行くか…と会いもしてない内からぐるぐるぐるぐるぐる😵💫
人を好きになるってこんなにも難しかったのかぁ。と考えながらアプリを眺める、今日この頃です。
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