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プロローグ3-14(ソック、置き去りにされる!)-サイレント・ネオ-boy meets girl-
「リ、リサ、わかったよ。こうなったら仕方ない。
ソック副隊長には申し訳ないけど、ここに置いていくしかないな…」
ナウマンは決断すると顔を見合わせてうなずき、リサと共にそそくさと車に乗り込んだ。
さらに、エンジンをかけ、2人だけで街を出発してしまったのである。
「いやー、猛烈に暑い日差しの下、クーラーの効いた車の中で飲むアイスコーヒーは最高だねえ。それも、ちょっとあきてきたから、紅茶も買ってきたよ!」
置き去りにされたともしらないソックは口笛を吹きながら、缶コーヒーと紅茶が入った紙袋をかかえて、車があったところに戻ってきた。
それは曲がり角だった。
ソックは道を曲がってその場所に来たが、ナウマンたちもいなければ、車もなかった。
目を点にして立ち尽くすソックに空っ風がふきつけた。
「クーラーの効いた車の中で飲むアイスコーヒーは最高なのに…」
遠くでナウマンたちが乗る車がアクセルをふかしながら、猛スピードで立ち去って行くのが見える。
慌てたソックは車に向かって全速力で走り始めた。
右手を精一杯伸ばし、左手には紙袋をかかえて…。
しかし、車はどんどん小さくなっていき、距離が広がるばかりだ。
紙袋の底が破れ、あれほど微糖にこだわり、最高と言い続けたコーヒーが、次々と落ちていくが、ソックは拾いもしなかった。
「あれ、ど、どうしたかな…おーい、ナウマン、リサさん…誰か忘れてないかな…私、私のこと、忘れてるよー! ナウマン、待ってくれー!
私はお前の上司だぞー…車で飲むアイスコーヒー最高!」
よたついた足で走っていたソックだが、ついに力尽きて前に転倒した。
サングラスや顔は砂まみれ、思わず口の中にも砂粒が入ってしまった。
ソックは砂をぷはーと口から吹き、よれよれと立ち上がると、
「…まいったな、私は…」
とポケットに手を入れるが何も入っていない。
「お金ないんだよね…一文無しで砂漠に私は一人たたずんでいるんだね…そうか…そうなんだね…」
麦わら帽子、アロハシャツ、半ズボン、ビーチサンダルにウクレレが入ったケースを背負ったジャック・ソック。
おもむろにウクレレを取り出すと、ポロンポロンとひきはじめた。
「ジャック・ソック、斥候隊では副隊長、砂漠の真ん中でウクレレをひいてます~」
砂漠の乾いた風が猛烈に砂埃をあげて、哀愁漂うソックの歌声と姿をかきけすのだった。
ヒュウウウウ…。
おわり…(プロローグ4はシャギの野望!)
→プロローグ:3-1 3-2 3-3 3-4 3-5 3-6 3-7
3-8 3-9 3-10 3-11
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