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剣客商売第8巻 第4話 仁三郎の顔
はじめの一歩の地図作り
池波正太郎著「剣客商売」は、江戸の町を歩く気分、自分の足でも歩こうと、地図を作りはじめました。
「剣客商売」の各話ごとに地図を作ってます。江戸以外が舞台の話など、抜けているのもあります。完成地図(記事)は「目次」へリンクしてます。
では・・・机上ツアー・ご一緒ください。
地図(画像)
(1)四年前、傘徳らが捕らえ損ねた仁三郎が、江戸に戻った。盗賊一味を、弥七の手先・佐平が探り出し、兄は獄門。仁三郎は佐平を狙う。
(2)仁三郎は大治郎に命を救ってもらったことがあり、偶然再会した大治郎に誠実な好意を寄せる。・・・(1)(2)どちらも仁三郎のほんとうの顔。
佐平を守るため、佐平を殺すため、4人は同じルートを走る⑭-⑱。
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傘徳(実際は➀→④)⑩~⑭⑮⑯⑰→⑦浅草の今戸八幡前の小さな茶店
⑭大治郎合流。⑯辺で弥七(駕籠)合流
仁三郎⑧→⑨大治郎と再会→⑭⑮⑯⑰→⑦浅草の今戸八幡前の小さな茶店
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コース的に描くとこんな感じ?
赤:仁三郎⑨で時間調整。
青:大治郎⑨で仁三郎と会う、⑭で傘徳と合流
クロ:傘屋の徳次郎、点線:弥七が駕籠で追いかけ〇で合流
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地図データ
・本文抜書の『51)』等は、文庫本のページ数です。
・切絵図をお借りしています。切り抜きなど加工をすることがあります。
『出典:国会図書館デジタルコレクション』、ありがとうございます。
仁三郎(岩戸の繁蔵の知らせ)
切絵図:内藤新宿下町(傘徳の家)
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内藤駿河守の広大な屋敷は、現・神宿御苑
東へ行くと、四谷(弥七宅方向)
177)その日。
傘屋の徳次郎は、珍しく熱を出し、前夜から寝床に潜り込んだきり・・・
178)(傘徳は)➀内藤新宿の下町で傘屋をしているが、
<岩戸の繁蔵がこそっと訪ねてくる>
181)「黒羽の仁三郎が、江戸に帰ってめえりやしたよ」
<どこでみたのだ?>
「②入谷の松平様の御下屋敷なんで・・・」
<繁蔵は帰り、徳次郎は身支度を。女房・おせきは引き留める「熱があるし、見つかったらお前さんも危ない・・・」>
181)「おれより、佐平さんのほうだ」
切絵図:②入谷の松平様の御下屋敷
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183)傘徳は、③千駄ヶ谷の戸田越前守下屋敷で<人を殺してしまった>
<襲われて返り討ちだったが、一身にかぶるつもりで弥七に自訴>
183)「その手にかけた罪滅ぼしにお上の御用に働いてみめえ」
そのころ、弥七は佐平という中年の手先を使っていた。
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185)四年前のことだが、④四谷の本村町の小間物屋〔近江屋喜兵衛〕方へ押し入った五人組の強盗。
186)佐平はついに、⑤麻布の阿部播磨守・下屋敷の中間部屋
<犯人を見つける>
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187)隠れ家は、同じ⑥麻布の北日ヶ窪にある中二階の仕舞屋。
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<捕り方が打ち込み、犯人逮捕。仁三郎だけは斬り逃げている。
その事件を潮時に佐平は引退>
188)弥七は、⑦浅草の今戸八幡前に小さな茶店を買い、佐平に与えた
190)忍川の為蔵(盗賊の一味)は、佐平が今戸にいると、黒羽の仁三郎に知らせてやった。
その日
192)江戸へもどって以来、黒羽の仁三郎は、⑧佐久間町四丁目の小さな旅籠に泊まっていたので、神田川に沿った道を真直ぐに、浅草御門外まで来たのである。
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193)浅草御門外から浅草寺をむすぶ、御蔵前の大通りへ出た仁三郎が⑨茅町二丁目へさしかかったとき、左側にある菓子舗〔橘屋善兵衛〕方から通りへあらわれた侍。
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「浅草御門外から浅草寺をむすぶ、御蔵前の大通りへ出た」
茅町二丁目、左側にある菓子舗〔橘屋善兵衛〕
「あっ」
仁三郎が、低く叫んだ。振り向いたのは、秋山大治郎であった。
橘屋〔初雪煎餅〕は、三冬の好物
196)仁三郎が、近くの⑨〔末広蕎麦〕に大治郎を誘った。
※近くの蕎麦やとみなして⑨とする。現在の地下鉄浅草橋駅辺。
194)「六年前、近江の石部の宿外れ」
仁三郎は、腹の痛みに呻いていた。
197)前夜は、草津の旅籠〔野村屋安兵衛〕方へ泊った。
197)石部の宿で用を足してから、白知川を越えたところで、激痛。枯木立へ。尾けていた浪人三人連れにおそわれた。浪人どもは腹に巻いていた七十余両を奪い、大刀を引き抜いた。
198)別の侍が走り寄って仁三郎を庇った。
199)この時大治郎は、近江の彦根から大坂へ向かう途中であった。
200)大治郎は前夜、仁三郎が泊った草津の野村屋へ入り、自分も泊まり込み、付き添った。浪人がまた襲うことへの備えである
大津の宿で、二人は右と左に別れた。
200)十二日後・・・仁三郎は三河の御油の宿場の旅籠〔恵びすや安左衛門〕で三人の浪人を殺害した。
傘屋の徳次郎と
201)大治郎が末広蕎麦を出たとき、雨はほとんど熄んでいた。
203)ちょうどそのころ、⑩上野山下から⑪浅草へ入った傘屋の徳次郎は、⑫東本願寺前から⑬田原町を過ぎ、大川をのぞむ⑭駒形堂の近くまでやってきた。
「これは若先生」
徳次郎は、大治郎のうしろについて、⑮広小路の方へ歩み出した。
204)⑮浅草の広小路から、⑯花川戸、⑰山之宿をすぎ、今戸へ
207)「おい、徳じゃねえか」
四谷の弥七である(駕籠を飛ばして来たのを、二人にあって合流、駕籠は返す)
208)三人が、佐平の茶店までくると、店先には誰もいなかった。
「お父つぁん亡くなりましてございます」
仁三郎
208)ちょうどそのころ・・・
黒羽の仁三郎は、⑯花川戸から⑰山之宿へかかった。
仁三郎は、⑱今戸橋へ、山谷堀に沿った道を右へ曲った。
212)茶屋へ走り寄った黒羽の仁三郎は、ふところの短刀を引きぬきざま、
「おい、だれもいねぇのかい」