夜の散歩 お月とフリスクジュース
回転寿司屋で食事をした後、夜の散歩へ出かけた。回転寿司屋にいくといつも腹12分目くらいまで食べてしまうのだが、今日は腹9分目で済ませたので、体が軽い。歩き始めて2分で金木犀の香りがする。今年も金木犀の季節がやってきた。散ってしまう前に、香りを頼りに金木犀を探す散歩をやらなくては。
今日は満月に近いのかな?月はいつも私の方を見て気さくに声をかけてくれているように見えるから、あえて様はつけずに親しみを込めてお月と呼んでいる。お月がとても眩しくて綺麗で、雲が少し被っているからなのか、周りに光の輪が見える。いつも以上にご機嫌な様子で歌でも歌っている様に見える。すうっとした少し冷たい空気、秋特有のいい匂い、ご機嫌なお月。今日は完璧な夜散歩日和だ。あまりにも空が綺麗なので、結構しばらくの間、ベンチに座って眺めていた。お月の周りの雲たちは、風が早いのかどんどん様子を変えていく。最終的に、お月の周りの雲はひつじ雲みたいになって、蜂の巣の中にお月があるみたいだ。空に手を伸ばしてガリガリと引っ掻いて、雲を引っ剥がしたくなる。
歩いていると自販機を見つけた。自販機で自販機特有の飲み物を買うのは散歩の醍醐味だ。ちょっと前にまずいと話題になったフリスクのジュースを見つけた。
試しに買って飲んでみる。匂いは爽やかないい匂いがする。口に入れて飲み込む一瞬だけ、三ツ矢サイダーのようなさわやかなおいしさがかすめていくが、飲み込んだ途端消え失せ、フリスク特有のスースーとした苦味に口から喉までが支配される。これは、まず…いや、だめだ。1回まずいと思ったら飲めなくなる。飲み込む瞬間の微かな甘みに集中するんだ。
あんなに空気が気持ちよくて散歩日和だったのに、フリスクジュースに五感をジャックされて、もうなにも感じられない。やたらとスースーする。フリスクジュースを飲み始めてから散歩が全く楽しくなくなった。もっと歩こうと思っていたが、もう帰ることにした。フリスクジュースは全て飲み切ることができなかった。200円した。
家のそばでまた金木犀の香りがする。ところどころで強く香るけど、金木犀の木は見当たらない。また今度、明るい時に探しに行こう。フリスクジュースは見つけてももう買わない。金木犀とドクターペッパーかマウンテンデューが置いてある自販機を探す散歩を今度はしよう。
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