
大切に紙袋に包んで
古着屋さんの紙袋はなんてときめきを含んでいるんだろう。お店のスタンプもかわいいし、服が丁寧に畳んで入れられている様子も素敵すぎる。あの紙袋は持っていると胸を張ってしまう。持って帰る過程で何度も手元を見て嬉しくなる。持ち合わせている服の数なんかより、このときめきが大事なのだ。清潔な紙袋にお店の人の服への愛を感じる。私はよく脱ぎ散らかしてしまうけど、大切に小さな紙袋に入れられていると、大事にしなきゃなぁと思う。
紙袋といえば、本屋さんの紙袋もときめいてしまう。もらったら即紙袋越しに空気を吸い込む。いい匂いすぎる。本屋さんの紙袋って正直そんなに便利なわけではない。持ち手もないし、持ち方は本の持ち方と変わらないし、むき出しの本のまま鞄に突っ込んだっていいくらいなのだ。でも紙袋に入っていると、買いたてのフランスパンみたいで特別な感じがする。いい匂いがするわけだ。これを小脇に抱えていると、本を買ったんだぞ!という感じがすごくして、頭が良くなった気さえする。そのままでもいいのに、わざわざ紙袋に包んでくれるというのが嬉しくて、カバンに入れずに胸に抱いて持ち帰ってしまう。
最近の私は私に似合わなそうな服を買う。新しい私になりたいのかもしれないし、今の自分を受け入れたいのかもしれない。買った似合わなそうな服は、家に帰っていろんな服と合わせて見るけどやっぱりあまりしっくりこなくて、でもいつか似合うようになる気がする。体重が増えて肉付きが良くなった私は、ピチッとした服に憧れている。最近買う服は体のラインを拾うような服で、私は肉付きのいい自分を肯定しようとしているのかもしれない。全部まるっと受け入れることができるだろうか。この私の生活ごとまるっと受け入れられるといい。未来の私がやって来て、「これでいいんだよ。この私が証明だよ」と言ってくれるのを待っている。私は休職したての時の私に、「今は楽しく過ごしてるよ」と言いたいし、早く未来になって「今はそのままで大丈夫だよ」と言いたい。未来でちゃんと働いている私になりたい。未来の私よ、どうか過去の私を責めないで。自分で自分を責めるのには慣れていて、でも、優しくして欲しい。私は私を大切に紙袋に包んで、未来へ連れていくことができるだろうか。私は私に優しくされたい。そう思うことが、きっとその第一歩で、私はその一歩目を踏み出せている気がする。