眠れない夜

 夜、眠れなくて諦めて食器洗いをする。まだ眠れそうになかったらお菓子でも食べちゃおうか。夜眠れなくて、諦めて食べる食べ物ってすごく美味しく感じて、いつまでも覚えている。朝4時ごろ、夜が明ける瞬間をベランダで見ながら、凍らせたグミを食べた日。夜中2時ごろ、仕事のミスを思い出してブルーな気持ちを追いやる様に、クリームチーズを舐めながらワインを飲んだ日。この頃から眠れない夜にいつも読む漫画があって、女の子が夢の中で喫茶店をやるお話だ。お菓子、コーヒー、お酒が出てきて、レシピも書いてあって読んでいると食欲が湧く。食欲は元気の源だ。この漫画を読むとちょっと泣いて、お腹が空いて、元気になる。

 この漫画を買った頃の私は、初めての転職をした後で、新しい職場でうまくいかなくてかなり消耗していた。この頃の日記を読むと、かなり辛そうなのにまだ頑張れるとか、3年働けば変わるとか前向きなことばっかり書いてあり、急に日記が途切れてアパートの駐車場で隣の車にドアをぶつけて警察に来てもらった時のメモが出てくる。パトカーを見た道ゆく人が何事かと私のことを見て、犯罪者になった気分で悲しかった。この頃は本当に疲れていて、ちょっとしたミスが日常で多く、よく交通事故を起こさなかったなと思う。毎朝運転する車の中で泣いたり息が苦しくなったりしていたのに、毎日奇跡的に無事故で職場に着いていた。何食わぬ顔で職場のドアを開けるのが耐えられなくなって、職場で過呼吸を起こして即日別の職場に移動させてもらった。この時の職場の上司に似ている人を見かけると今でも動悸がする。私にとってつらい思い出で、私のメンタルにとどめを刺した経験なんじゃないかと思っている。

 つらい思い出をなんで書くんだと思うだろう。悩みを話すことは(手)離すことだとよく言う。でも話す機会ってなかなかない。飲み屋で急に自分のトラウマ話をし始めたらお酒がまずくなりそうだ。でも書くことはできる。このnoteは読んでも読まなくていいものだ。だったら誰かに手渡すことができない苦しみを、誰にも手渡さないでnoteの海に揺蕩わせておくことができるだろう。読んでいて傷つきそうになったらみんなすぐに逃げてね。私は私の苦しみの濃度を薄くしたいだけだから、まともに受け取らなくていい。よかったら水を一杯入れて薄めてくれるとありがたい。

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