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ショートショート¦瓶の中で永遠に

目的もなく、ふらふらと散歩をしていたところに、ぎょっとするような文字が飛び込んで来て、言葉をなぞるように口に出してみる。

「長距離恋愛販売中…?なにこれ……?」

木の看板に手書きのような字で「長距離恋愛販売中」と書かれた看板がある。その隣には"サンプル品"と書かれた瓶が置いてある。なんの変哲もない、頑丈そうな瓶。

なんとなく無視できずに、店内をそっと覗き込む。薄暗い店内には、まばらに並んだ小さな瓶が棚を占めていた。それぞれの瓶には、見知らぬ人の名前と日付が手書きで貼られている。

ぴゅーっ。冷たい風が吹いて、肩を震わせながら店内に入る。奥から、やせ細った店主が現れ、うっすらと笑みを浮かべて言った。

「遠くにいる人へ。想いを届けるための瓶です。今ならお安くお買い求め頂けます。」

私は、まんまとその瓶を買ってしまった。瓶の中には丁寧に説明書が入っていた。説明書通りに、彼の名前を瓶に囁き、彼のことを強く想う。

瓶の中に赤い液体がゆらりと現れた。

「ふふっ」声に出して笑った。これで私と彼は永遠に一緒だ。一時も離れることなく、ずっと、ずーっと。

Fin.-【465文字】


こちらの企画に初めて参加させて頂きました。
お題のワードセンスが素敵すぎて、わたしには難易度高い…と思いつつ。素敵な企画をありがとうございます✨

#毎週ショートショートnote
#長距離恋愛販売中

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