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育児の終わりを意識したら、切なくなった
「おーい、給食袋、出してないよ?
もう洗い物、終わっちゃったからね」
私は、低い声で冷たく言い放った。
あっ、しまったと顔に書いてある、我が子2人。
小学生2年生と、年中さん。
お風呂を入り終わった後で、
放置されたランドセル、口のしまったままのリュックサックが目に飛び込んできたから、声をかけたのだった。
あーあ、もう洗い物する気もないし、もう明日でいいかー と思った矢先、
「じゃあ、オレ、洗い物する!」
元気な声が飛び込んできた。
お、おお。
少し気圧されながら。
「じゃあ、よろしく」
少し嬉しくなった。
ごめん、ママがもっと早く言えばよかったね・・・。
我ながら、現金だ。
「でも、どの石鹸を使えばいいか、わかんないんだ」
素直なその言葉に、
「いいんだよ、分からなくても、今はママと一緒にやろう。
そうしたら、だんだんわかるようになるから。」
こうして、一緒に洗い物をするのは、いつぶりだろう。
小学生になった息子は何かと忙しく、私も時間をとってやろうと声かけすることもなかったため、洗い物を一緒にやることが久しぶりであったことに気づいた。
背も高くなり、台所のキッチンには、台無しで余裕で届く息子。
大きくなったなあ。
横顔を見ながら、私は話しかける。
「今からやっておけば、大きくなってから、できない、ってならないでしょ。
例えば、1人で暮らすようになったらさ、こうしてお皿洗ったり、ご飯作ったりするんだよ。」
横から高い声がする。
「え〜 あーちゃん、1人でくらすの、やだあ」
「じゃあ、あーちゃんは、俺のところにたまに遊びにきていいよ」
なんだこの会話。ほのぼのする。
そして可愛い。
1人で暮らすのやだよね、まだ考えたくないよね。
「大丈夫だよ〜まだまだ先の話だから、大丈夫。
当分は、ママとお兄ちゃんとあーちゃんと、パパと、芯くんで暮らすから大丈夫だよ」
「そっかあ、よかったあ」
その言葉を聞きながら、
そうか、終わりがいつかくるのか、と悟った。
今は、子供達が3人いてくれて、いつも騒がしくて(笑)
寂しいなんて思ったことがない。
でも、いつか。いつか、終わりが来るんだ。
寂しい。考えると、切ない。
だけど、それよりも、愛おしい。
今、一生懸命に、自分の給食袋から取り出した箸やコップを洗う、この子が。
2階の洋服ダンスまで、夜は怖くて1人で服を撮りに行けない、この子が。
いつか、この家を巣立つだろう。
いつか、終わりが来る。
だから、私は、今、この一瞬を大事にするんだ。
この子たちが望むものは、全て手渡してあげられるような
そんな心持ちで、この子達の希望を汲み取りたい。
そして、私自身の幸せを、この子達が一番望んでくれているのもわかるから、
私自身を大事にする。愛する。
これからも。
愛するこの子達のために。
いつも、一緒に生きてくれて
ありがとう。
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