送辞
高校3年間、向暑はるの担任を勤めていた教師が母校から離任することが決まった。
7年間その学校で勤めていたそうだ。
向暑はるが中学3年生の時から大学4年生の時までそこで勤めていたと考えると、とても長いように感じる。
その間に、向暑はるは子供から大人へと成長している。
7年間も同じ場所に居座ったことがあるのは、おそらく実家だけだろう。
少しだけ向暑はるの高校の話をしよう。
今では読書が趣味と公言したり、noteという活字に触れているが、それは高校生の時だったら誰も信じないほど国語が苦手な人間だった。
「偏差値38」
3年0学期と言われる、2年生の3学期に行われた全国模試で叩き出した衝撃の国語の偏差値である。
とにかくその頃は活字を読むことに抵抗があり、世界中の本が漫画になればいいと思っていた。
だけど流石に大学受験では必須の科目だったので、現代文と古文の教師兼担任の先生に頭を下げて偏差値を伸ばしたいとお願いした。
担任は、新聞のコラムの要約と感想を毎日ノートにまとめて提出しろと言った。
そう。たったそれだけ。
コラムという短い文章の中にも、枠に収めるための工夫や読者を惹きつけるための工夫がいくつも隠されていて、それを探すことが間違い探しみたいで楽しさを覚えた。
結局そのおかげで偏差値が格段と伸びて、大学に入学してからは読書が趣味の一つとなった。
高校の時の担任の先生がいなければ、今頃noteをやってもいないだろうし、仮にやっていたとしても楽しさを感じていないだろう。
それくらい高校の担任には感謝をしている。
その感謝が4年前に、スマホのメモとして残されていた。
本当は高校卒業と同時に感謝を伝えようと思っていた。
だけどあまりの文章の下手さと恥ずかしさで結局伝えることができなかった。
その文章を推敲して4年後の今日、スマホのメッセージ機能で伝えた。
少しだけ大人になった向暑はるの文章を見て先生は何を思うだろうか。
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