ハリボーはペンよりも剣よりも強し
足を組みながら目の前にはパソコンとメモ帳、
右手にペン。左手にハリボー。
これが向暑はるのリモートワークのスタイル。
パソコンに表示される上司からの依頼を待ちながら、空いている時間に自己学習を進めている。
時々気休めのハリボー。
出社ではできない仕事のスタイルに、少しだけ幸せを感じつつ不安を感じつつ。
この部屋を現場に置き換えた瞬間、当然上司から怒られるだろうし、評価も下がる。
それでも現状、仕事は溜まっているわけではないし滞っているわけでもない。
怒られる必要性を全く感じない。
仕事なんてどこにいっても”利益”第一だし、それが評価に繋がる。
つまり、仕事さえしっかり進められれば、外部との接点を除いて自由なワークスタイルというのは推奨されていい気がする。
そんな思考に至った向暑はるは家でスーツを着るのもめんどくさくなって、ついにはパジャマに着替えた。
なんて楽なんだ、と急に肩の荷が降りたので、もっと楽をしたくなって仕事用デスクからソファに切り替えた。
もはや休日である。
適当に上司からの依頼も終わらせて、ちょっと休憩でもしようと机に重たい頭を乗せた瞬間、気が吹き飛んだ。
目を覚ました時には時計の針が1周をしていて、流石に罪悪感から反省をした。
リモートワークだから誰にも見られていないし、怒られもしないけど、ネクタイを緩めただけでこんなにも気持ちに緩みが生じるらしい。
身だしなみの緩みは仕事にも悪影響を及ぼすのかもしれない。
明日はスーツ着よう。
ハリボーみたいに柔らかさと硬さを持つ弾力のある生活をしなければと、仕事用デスクに忘れた”気休め”を取りに行った。
これだけは仕事の環境が変わっても手放せない。
向暑はるの仕事の武器である。
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