そのときはパパによろしく〜38歳、全身性強皮症になりました〜
2022年1月18日(火)、年末に受けた血液検査の結果を聞きに夫の運転で市民病院へ向かった。
病院の駐車場に車を停めると、「終わったら連絡して。」と運転席の夫が早々に携帯をいじり出した。「付き添ってくれないの?」「え、一緒に行った方がいい?」「…冷たすぎん?おばあちゃんの病院に付き添ってくれないおじいちゃんなんかいないと思うけど…」「何かあったら連絡して」
私たち夫婦はいつもこんな感じだ。夫が冷たいのは結婚する前からなのでショックを受けることもない。しかし、今日はちょっとだけ優しい言葉をかけてほしかった。
下の子を出産後、明らかに疲れやすい体質になった。慢性的に発生する湿疹、疲れた日の夜は必ず蕁麻疹。出産してもうすぐ二年が経つのに一向に終わらない抜け毛と切れ毛。切れ毛とアホ毛で透ける頭皮‥
髪の毛先が顔に触れるたびに湿疹ができる。それが痒くてたまらない。私の顔や首はこの一年半、いつも真っ赤だった。
ワンオペ家事育児に仕事。性格上、熱中すると睡眠の優先順位が最後になってしまう。慢性的な寝不足。不健康な生活。もうすぐ40歳になるというのに「自分の身体を大切にしている」とは決して言えない生活をしてきた。
元々肌は弱い方だったが、産後、明らかに自分の免疫力が低下している実感があった。「理由はわからないけれど、自分で自分を傷つけている感覚」が常にあった。
皮膚科を何回か受診して、軽めの塗り薬(ステロイド)を処方されても一向に良くなることもなく、皮膚の上で起きている炎症ではなく、身体の内側で何かが起きている気がしてもどうしたたいいのかがわからなかった。
そんななか、昨年の秋ごろ、明らかな症状が出た。それが「レイノー症状」だ。
洗面所やキッチンで冷たい水に触れる度に、指の先の色が白くなる。真っ白な指先は温かいお湯に触れているとしばらくすると元の色に戻る。
「冷え性だし、血流が悪いんだな」それくらいに思っていた。昨年末、夫の実家の北海道へ一週間ほど帰省した。マイナス7度の旭山動物園で、私の身体が悲鳴をあげた。
寒さに耐えきれず、貧血で倒れ、指先と足の指先が黒に近い真紫色に変色した。娘を抱きながら数メートル先のフードコートまでの道のりを泣きながら必死に歩いた。
当時は凍傷にかかったと本気で思っており、数分間温めると紫黒い肌が元に戻ったので、病院に行くこともなかった。
この出来事をきっかけに、レイノー症状が明らかに進行した。横浜に帰ってきてからも「寒い」と一瞬でも感じるたび、一気に手と足の指先の色が抜け、ジンジンしびれて感覚がなくなり、痛くて手が動かなくなる。
「凍傷 指の先 白い」検索を繰り返し、たどり着いたのが「レイノー症状 膠原病」だった。
「膠原病」「リウマチ」聞いたことはあるものの、高齢でかかる病気だと勝手に思っていた。もうすぐ40歳になるものの、それはないだろうと思っていた。「指が白くなるだけで病院に行くなんて大袈裟かも」とも思った。
しかし、この一年半続いている疲労感や慢性的な湿疹。本当にストレスだけなのか、何が原因でこうなっているのか、調べてみたくなった。
膠原病の検査が対応の病院を探すと、「リウマチ内科」という言葉がヒットした。
近所のリウマチ内科を受診すると、両足に紫斑、背中から肩に紅斑、左右の首に大きなしこりがあることもわかり、症状から見て総合的な判断が難しいと、すぐに総合病院を紹介された。
紹介された市民病院で、13本の血液検査とレントゲン検査を受け、やっと診断結果に至った。
「検査の結果ですが、はるさんは『全身性強皮症』という病気ということがわかりました。」
”膠原病” と ”自分の身体に起きている事象”を組み合わせてネットで調べていたので、なんとなくそうだろうと思っていたので驚きはしなかった。
「もしかしたら」わかってはいたものの、診断結果を聞きながら、ふと子どもの顔が思い浮かんで涙が溢れた。
38歳、1歳と4歳の子どもを育てる親として、難病と診断されたショックは大きかった。
病気の進行は人それぞれ異なり、皮膚や内臓の硬直が始まるタイミングも速度もすべてが異なる。今後は定期的に診察を受けて現場を報告、症状が進んだタイミングで治療を開始することが決まった。
「聞きたいことはありますか?」の問いに食い気味で質問をしていた。「病気が進行しないように、できることはありませんか?」
先生が教えてくれたのは、「ストレスを溜めないこと」「身体を冷やさないこと」「よく寝て健康的な生活をおくること」そして「小麦粉を避けること」だった。
(このあと、はじめて「グルテンフリー」という言葉の意味を調べ、その大切さを知ることになります)
診察室を出ると、原因がわかってホッとした気持ちと、10年度、20年後、自分はどんな姿で家族と一緒に過ごしているのか不安になって泣いた。
ちょうどのタイミングで、夫からメッセージが届いた。「どうだったの」「膠原病、全身性強皮症だった」「‥漢字が読めない」その数分後に夫が目の前にあらわれた。
夫の顔を見て、また泣いた。泣いてる私の隣で、病気についてしばらく調べた夫が言った。「まぁ付き合っていくしかないでしょ。」「これ以上進行しないようにできることやろう。」
夫はいつも、勝手に私の二三歩先を歩く。私の気持ちが整理できず、まとまっていないうちに、勝手に目標を定めて進んでいってしまう。
いつもイラッとするが、それが良い方向に進むこともある。診察室を出て数分しか経っていないうちに夫はすでに目標に向かって勝手に歩き出してしまった。
私はそんな夫に「本当に冷たい男だ」と腹を立てて、その日は一晩中泣いて過ごした。
翌日、何も言わず買い物に出かけた夫がいろいろ買って帰ってきた。
夫の方が私よりも早く、勝手に病気を受け入れて前に進んで歩いていた。
万が一の数年後の最悪の状況を考えて、一緒に悲観的になってひどく落ち込んでくれてもよかった。しかし、今の我が家の状況を考えればこんなあっけらかんとした夫でよかったと思うことができた。
(できればそうあってほしいけれど)優しい言葉をかけてくれる夫じゃなくてもいい。何かが起きたときに、どうやってそれを受け入れて、どうやって付き合っていくのか、一緒に考えてくれる人がいるだけで十分だ。
その晩、念のため時間を作って夫と二人で話し合いをした。「病気を受け入れてどう付き合っていくのか一緒に考えよう」「できることをやっていこう」二人とも同じ考えでまとまった。
今回のことがきっかけで、私たちは夫婦でもあり、共に子どもを育てるパートナーであることをまた確認することができた。原因不明、どう進行するかわからない病気も受け入れて付き合っていくしかない。
今できることをできるだけ頑張ればいいんだ。
嬉しかったのは「私に何かがあってもパートナーがいる」という安心感。それは自然に溢れる感謝の気持ちでもあった。
そのときはパパ、よろしく!!
と、言うことで?38歳の冬、私は全身性強皮症という難病であることがわかった。いつこの病気が発症、進行して、硬化が始まるかはわからない。
数ヶ月後、念願のマイホームが完成して新しい生活を始める。今の住宅とのダブルローンも始まったばかりだ(汗)
調子のいいことを言っている夫も実は休職中で、まだまだ私の精神的ストレスは解消できる予定もないが、今できることを最大限行うため、とりあえずグルテンフリー生活をはじめた。(インスタグラムもグルテンフリー発信に絞ります)
昨日、診察を受けた際にその旨を伝えると、主治医にとても褒められた。私たちが思ってる以上に、グルテンフリーは身体にとっていいことなのかもしれない。
この数日、グルテンフリーに関する著書を取り寄せて何冊も読んだが、ためになる書籍もあったものの、内容は難しく、グルテンフリー料理(スイーツお菓子ではないご飯系の)レシピ本は一冊もためになるものがなかった。(ガチで)こんなにも情報が溢れている時代に衝撃を受けて思ったのは
「グルテンフリーを世の中にもっと広めることが私の今後の人生の使命なのかもしれない‥!」(感化されやすいタイプです)
今後はグルテンフリーについてをインスタグラムで発信していきます。気になる方はフォローお願いします。
歳を取るにつれ確実に老いはやってくる。老いに伴い、きっと病もついてくるものなのだろう。そうなったときに、それをどう受け止めて、どう付き合って生きていくのかそれが大切なのだろう。
病気がわかった今、現実を受け入れて、できることをできる限り頑張るのが私の人生の仕事になった。
今後、病気が進行したり状況が変わればnoteを更新しようと思うが、グルテンフリーを頑張ると決めたため、その予定はとうぶん未定である。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
私は今、元気です。処方された薬を飲み、グルテンフリーを始めて、酷かった湿疹も落ち着いてきました。疲れやすさはあるものの、全然元気です。ご心配なく‥!
今回、全身性強皮症という病気をもっと知ってもらいたくて、このnoteを書きました。
私のように調べ癖がついている人間でも、レイノー症状=膠原病にすぐには辿り着くことができませんでした。レイノー症状が起きても膠原病の血液検査を受けていない方も多いのでは‥と思います。
膠原病ということがわかれば、日頃から健康に気を遣うことができるし、日常生活で無理をすることも意識的に避けられると思います。無理をしないで過ごすことが最大の治療だと言われました。
特に子育て中だと、毎日家事育児で頑張りすぎで、疲れているのが当たり前。子どものことが最優先で自分の健康にまで気をまわすことができないと思います。
ですが、子どものためにも親は健康で長生きするべきです。私は、病気になって初めて自分の健康について向き合うようになりました。
膠原病は決して高齢でかかる病気ではありません。若くして発症する場合もあるそうです。全身性強皮症の検査に対しての陽性反応は、発症する十年前から出るそうです。
レイノー症状以外にも、疲れやすい、疲れが取れない、湿疹、紅斑、蕁麻疹など、気になる症状があったらリウマチ内科を受診することをお勧めします。
すべての全身性強皮症が私の症状に当てはまるということではありません。病気の進行は人それぞれのため、参考程度に捉えていただけると幸いです。