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老人と赤い花柄の傘

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この物語は人にはターニングポイントがあると思い描きました。 主人公の私(シュニン)はやる気がない人ですが老人に出会って自分を変えていく話です。 コロナウイルスの混乱で私の周りも世…
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#家族

小説 老人と赤い花柄の傘3  三雨

小説 老人と赤い花柄の傘3 三雨

「もしもし、俺やけど。」
「俺って誰や?詐欺やな。お断りやで。」
私は久しぶりに母に電話した。

「詐欺って息子に酷いやん。俺ってわかってるやろ。番号出たし。」
私が言うと母は大爆笑して「ごめん。」と謝る。それから立て続けに質問してくる。
昔から母は矢のように言葉を飛ばしてくるが、かなりパワーアップしていた。
「どうしたん?珍しいやん。あんたから電話なんて?具合悪いんか?仕事大丈夫なんか?彼女でき

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小説  老人と赤い花柄の傘1   
一雨

小説 老人と赤い花柄の傘1 一雨

老人と赤い花柄の傘🌂  一雨

「しまった。電車行ったか。」
駅の改札口で立ち止まった。
私は会社に一度戻るのを諦めた。

“打ち合わせが長引いたから*午後一の会議は欠席します。そのまま客先に行きます。”
と会社にメールを送る。
”分かりました“とだけ返信が早く返ってくる。

駅のコンビニで昼食のおにぎりと緑茶を買うと、駅の近くの少し大きな公園を見つけ日陰のベンチに腰掛けた。

風が心地よく木々

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