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アメリカにおけるDEI後退と日本企業への影響、そして社会正義のキャリア支援の視点

こんにちは。
カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

🎗️はじめに

昨今、アメリカの企業社会において、これまで世界的潮流であった
DEI(Diversity, Equity, Inclusion:多様性、公平性、包括性)を重視する動きに陰りが見え始めています。

今回、この状況の背景にある要因、日本企業への影響、そして社会正義のキャリア支援の視点から、今後のキャリアコンサルティングのあり方について考察します。

🔍アメリカにおけるDEI後退の背景

アメリカにおけるDEI推進の動きは、長らく社会的な進歩を促す原動力となってきました。
しかし、近年、以下のような要因から、その勢いに陰りが見え始めています。

  1. 政治的な分断:
    アメリカ社会における政治的な分断は、DEIに対する考え方にも影響を与えています。
    保守派の中には、DEIを「逆差別」であると批判する人々も存在し、DEI推進の取り組みに対する反発が強まっています。

  2. 経済的な不満:
    格差の拡大や経済的な不安定感は、社会の一部に不満を生み出しています。
    このような状況下で、DEI推進が特定の人々を優遇しているという批判が生じやすくなっています。

  3. 最高裁判所の判断:
    2023年、アメリカ最高裁判所は、大学入試におけるアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を違憲と判断しました。
    この判断は、DEI推進の取り組みに対する法的根拠を揺るがすものとして、大きな影響を与えています。

  4. 企業側の変化:
    一部の企業は、DEI推進の取り組みがコスト増につながると考え始めています。
    また、DEI推進が企業のイメージダウンにつながる可能性を懸念する企業も存在します。

🚀日本企業への影響

アメリカにおけるDEI後退の動きは、日本企業にも少なからず影響を与える可能性があります。

1.グローバルな人材獲得競争:
グローバルに事業を展開する日本企業にとって、DEIは優秀な人材を獲得するための重要な要素です。
アメリカにおけるDEI後退は、日本企業がグローバルな人材獲得競争において有利な状況に立つ可能性があると考えられます。
なぜなら、アメリカ企業がDEIへの取り組みを弱めることで、これまでアメリカ企業で活躍していた多様な人材(特にマイノリティと呼ばれる人々)が、DEIを重視する企業を求めて日本企業に流れてくる可能性があります。

2.海外からの圧力:
海外の投資家や消費者の中には、企業のDEIに対する取り組みを重視する人々もいます。
アメリカにおけるDEI後退は、日本企業が海外からの圧力を受ける要因となる可能性があります。

3.日本国内のDEI推進:
アメリカの状況とは対照的に、日本国内ではDEI推進の動きが加速しています。
日本企業は、グローバルな視点を持ちながら、日本国内の状況に合わせたDEI推進の取り組みを進める必要があります。


🤝社会正義のキャリア支援の視点

社会正義のキャリア支援とは、すべての人々が公平な機会を得て、自己実現を達成できる社会を目指すことを指します。
アメリカにおけるDEI後退の状況は、逆に社会正義のキャリア支援の重要性を改めて浮き彫りにしています。

  1. 多様性の尊重:
    キャリアコンサルタントは、多様な背景を持つ人々のキャリア形成を支援する上で、それぞれの個性や価値観を尊重する必要があります。

  2. 公平な機会の提供:
    キャリアコンサルタントは、すべての人々が公平な機会を得られるように、情報提供やアドバイスを行う必要があります。

  3. 包摂的な社会の実現:
    キャリアコンサルタントは、DEIを推進する企業や団体と連携し、包摂的な社会の実現を目指す必要があります。


🎯今後のキャリアコンサルティング

今後のキャリアコンサルティングは、以下の点に留意する必要があります。

  1. グローバルな視点の強化:
    グローバルなビジネス環境の変化を把握し、多様なキャリアパスを提案できる能力を養う必要があります。

  2. 社会正義の視点の重視:
    DEIの重要性を改めて認識し、すべての人々が公平な機会を得られるようなキャリア支援を行う必要があります。

  3. 企業との連携強化:
    企業の人事担当者やDEI推進担当者と連携し、より効果的なキャリア支援を提供する必要があります。

  4. 多様な支援方法の開発:
    オンラインキャリアカウンセリングやグループワークなど、多様な支援方法を開発し、より多くの人々を支援できる体制を構築する必要があります。

🗣️まとめ

アメリカにおけるDEI後退の動きは、日本企業やキャリアコンサルタントにとって、新たな課題を提起しています。
しかし、社会正義のキャリア支援の視点を持ち、適切な対応を取ることで、これらの課題を乗り越え、より良い社会を実現できると思います。


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