中の人のわくわく引っ越しコラム①
※わくわくは当社比です!
ある年の本格的な寒さを迎える少し前。
内装材ECショップハロハロの中の人・Rは、引っ越しをしました。
お話は引っ越しをする前日譚からはじまります。
*
部屋に入居したのは、ちょうどくだんの感染症が流行り始めていたころ。
前職の職場の雲行きも怪しければ、家族の関係もごたついて、なんなら、当時の恋人との関係も、まるでうまくいかなかった。
最終的には、すべてがいっぺんに破綻した。
職場からは解雇され、家族は離散し、恋人とは別れ、世間では感染症が流行り出し、わたし自身体調を崩して、文字通りズタボロになった。
😫
こうして、改めて書き出してみると……
いやいや、ほんとにこんなことあるのか?話を盛ってないか?
地震と雷と火事と親父が同時に振ってきたくらいひどい状況!
嘘ついてない?不幸自慢か?と自分でも思う。Wikipediaに載りそう。
でも、ほんとに全部いっぺんに来たのだからしょうがない。
悪いことは重なる、とは言うけれど、このときはあんまりにつらすぎて、他人事のように思わないとやっていけなかった。
それに、もしかしたらあの時期、
他にとんでもない目に遭っていた人もいるかもしれない!
いつか、自分の身に降りかかったことがネタになる!
と信じて、笑い話にするほかなかった。
今にして思えば、人生の、ものすごくたいへんな節目だったと思う😞
そうして、な~んにもうまくいかないときに決めた六畳一間の部屋からは、とにかく空が広く青く見えた。
床は真っ白なフローリングで、抜けた髪の毛があちこちに散らばっているのがいやでも目についた。
その抜けた髪の毛が、自分から抜け落ちたナニカかと、髪の毛を見るだけで落ち込んだ。
掃除機をかける気力もない日は、毎日ぼーっと空を見ていた。
ロボット掃除機がいるとかわいいのかなあ、とか考えていた。
ロボット掃除機の上に猫が乗って動き回る動画を見て癒されもした。
初めての一人暮らしの家は、幹線道路が目の前で、夜中にバイクが爆走する。
隣の薄い壁からはアップテンポな音楽がドンドコ響いてくる。
今のわたしには あまりにも騒がしい環境で、騒音すらも自分を責めているように感じた。
部屋を広く使っていろんな事にチャレンジしようと思って買った折りたたみのベッドは一回も折りたたまれることもなく、飛び出た金具に足をぶつけては青あざをつくった。
穏やかといえば穏やかで、なんもないといえば、なんもなかった。
でもわたしの環境は少しずつ、そして急に変わっていっていた。
*
六畳しかないくせに、新しく買ったベッドも、本棚も、実家から持ってきたL字デスクも、ぜんぶぜんぶ大きいから、部屋がとんでもなく窮屈だった。新生活をはじめた時にはあれだけワクワクした部屋や家具も、足を伸ばせば、いずれかの家具に激突する。
最悪だった😫
適度に動かそうにも、
「せっかくの白いフローリングにキズがついてしまうのでは…」
賃貸初心者のわたしは、未だ見ぬ強大な退去費に恐れをなしていた。
じゃあもう、引っ越しせずにぜんぶ処分して家具だけ入れ替えればいいじゃん。
それは、本当に、そう。
しかし、当時のわたしには、もうこんなところやだ、絶対に引っ越す、ということしか頭になかった。
今を変える。自分を変えることには時間がかかってしまうが、住む場所を変えるのは決断すれば一瞬だ。
ただ重い腰を上げるには現実問題が目の前には立ちふさがる。
職も無ければ金も無い。
😟
人間の思考回路みたいなものはよくできていて、ひとつ悪いところを見つけると、芋づる式にどんどんと不満が出てくる。
部屋がせまい。とにかくせまい。ビジネスホテルの一室よりせまい。
狭すぎてインテリアを考える余裕がない。
キッチンがちいさい。コンロがめちゃめちゃ使いにくい。
シンクが小さすぎて洗い物をすると水浸しになる。
夏が地獄。髪の毛の掃除がとにかくつらい。
つらすぎてもう、生きていけない。
たまにいくコンビニの店員さんに会釈する余裕さえなくなった。
あれだけ気に入ってた窓から見える空も、青すぎて見るのも疲れてきた。
あの頃は、自分にいっぱいいっぱいで、人に対する思いやりとかやさしさとか無くなっていたと思う。
*
職もなく、予定もない、そんな生活の中でも、
なにかのきっかけで、
仲の良かった頃の両親との想い出と、晩年の怒号。
こんなに合う人が世の中に居るんだ。と思えるくらいだった元彼との良かった頃の思い出と、晩年の罵りあい。
かわるがわるフラッシュバックする😔
ほんとうにほんとうにしんどかったけど、生きていけないのは、さすがにだめだな。
わたしなんて、この星の無数のチリの一つだ!
まだマシなはずだ!もっとたいへんな人はいっぱいいる!!
と思い続け、思い込んだ。
ほんとうは辛かった。泣き叫びたかった。でもできなかった。
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引っ越ししよう!
そう決めたのは、不安の中でも生きることを続けていたある日、ベッドの下に落っこちたイヤホンを拾うため、床に這いつくばっているときだった。
わたしの人生史上、最大の変化を過ごしたこの部屋を離れるきっかけは、ほんの些細なことだった。
かくして、人生の絶不調を共にした部屋から、離れることに決めた。
→ ②につづく