私の過去の取り組み:Educe Cafe
私は、かつて東京大学大学院学際情報学府というところで大学院生をしていた。そこで博士課程だった当時から、Educe Cafeというオープンなカフェイベントを行ってきた。そのまま、東京大学大学院情報学環に勤務してからも、さらには帝京大学に就職してからも暫くは、そのイベントを継続していた。
Educe Cafe は、私が博士課程の院生だった2007年からその後の2018年まで東京大学(数回を除いて情報学環・福武ホール)を会場にして開催してきた32回行ったイベントラインで、当時理事を務めていたNPO法人Educe Technologiesの非営利活動の1つだった(今はNPOの理事を引いてしまったので行っていない)。
どんなタイトル・ゲストでイベントを行ったかのリストは全て、私のHPのポートフォリオに置いてある。
仕事帰りにふらっと寄ってもらえる「カフェ」を志向していたので、基本は平日の夜開催で、定員20人の小規模が良いと思っていた。 誰かに言われるからやるのではなく、自分がやりたくなった時にやってきた。
Educe(エデュース)には、「Education」の語源にあたる言葉で、隠された人の才能を引き出すという意味がある。Educe Cafeは、従来の枠組である「教育」というメガネをちょっとだけ外し、少しトリの眼になって「教育」の周りを見てみようよ、という想いで企画していた。常に私自身の感性に働きかけるような素敵な活動をされている方をゲストとしてお招きし、その話題提供に刺激されて場全体で何かを考えていけるような創発空間にできたら、と思っていた。
この人のことを知ってほしい!と思う人をお招きしたり、この人ともっと話してみたい!と思うときに企画とかこつけてお話ししたり、という感じだった。
企画は基本自分で立ててきたが、途中何回か、2人の企画者でコラボ企画するというのもやってみた。企画の仕方というのは、勿論自分で試行錯誤するのも大事だし、経験者と一緒にやっていくのも学ぶ早道だと思っている。どんな人と会いたい?どんな人と話してみたい?というところから、打診計画や広報を考えていくのは、インタビュー調査の計画立案にも似ていて、研究者(志望者)にとっても思考訓練になるかなと思う。
当日は、会場設営を学生スタッフの方と一緒にすることにしていた。学生の方にとって会費2000円や3000円は決して安くないはず(映画1本より高い)。学生だからお金を気にして参加できないのは勿体無いので、仕事をしていただいたら参加費をいただかないことにしていた。毎回、テーマによってささる層が違うみたいで異なった学生の方に出会う。それが、30代当時の私にとっては、一期一会の楽しみになっていた。(勿論、学生の方が希望されれば、その後、Facebook等でつながることもあった)。
当日は40分程度のトーク+20分のごはん休憩+60分の質疑時間、というのが定番のタイムテーブルだった。運営中、私は開始後は開催の挨拶をするのと休憩のアナウンスをするのと、質疑でお客様の質問を促す以外のことをしなかった。私が喋ってしまうと、他の方が質問できる時間を減らしてしまうので勿体無いと思っていたからだ。私は、皆さんのやりとりを聴きながら、その日の意味をふりかえっている感じで過ごしていた。
Educe Cafeでは、お飲み物や軽食もお出ししていた。学生の方から大学・企業にお勤めの方まで、その場にいる人みんなが顔見知りになってお帰りいただけるような、アットホームな会づくりを心がけていた。飲食物を扱うことで、少し準備コスト(時間・労力)がかかるのだが、それに見合った面白さと独特の居心地よさが、大学のスタジオに立ち上がると思う。
願わくば、大学にキッチンがあったら。
少し私もその場で手料理をお出ししたいのだが。東京大学でできることはやりきった、あるいは30代の私ができることはやりきった、というのが本音である。
実は後日談があって、2019年7月に中野区の一軒家を借りて、一度だけ、セミクロージングな料理を振る舞うカフェイベント「ライフシンキングカフェ」をやったことがある。ゲストに松下慶太さん(現:関西大学 教授)をお招きし、ワーケーションについてお話いただいた。
帝京大学出身の山縣 尚史さんに手打ちうどんをその場で打ってもらった。
Educe Cafeに関しては、写真が古くて画素が少ないものが多かったのと、如何にせわしなく動いていたか、記録写真が少ないのが残念である。
キッチンのあるところがあったら、また何かイベントをしてみたいという気持ちはある。もちろんコロナが落ち着いてからの話なのだけれど。