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農業ブランマーケデザイン思考(1/3)

 2024年、【ブランマーケデザイン】という思考法を生み出しました。これは自分で言うのも口はばったいですが、商売において今までになかった画期的な思考法です。
 なぜ今までこれがなかったのかが不思議なぐらいです。いや、多分同じような考え方や取り組みはあるはずです。それらを具体的に【思考法】としてまとめ体現化されていなかっただけかもしれません。体現化されないことには再現性はありません。

 今回なぜ僕がこれを【思考法】としてまとめたのか?それは商いをしているすべての人に儲けてもらいたいからです。
 さらにもっと本質的には【消費者を幸せにする】があります。ただしボランティア的な意味合ではありません。消費者は僕です。僕自身が幸せになりたいので商いをしている皆様に儲けてもらいたいのです。
 特に農業分野は消費者を不幸にしています。僕は僕がほしい野菜を購入できていないのです。例えばトマト。僕は味が濃いトマトが好きです。しかし売り場を見るとトマトに「トマト」と書いているだけだったり「桃太郎」「アイコ」などと品種名が書かれているだけのものがほとんどです。僕が食べたい「味の濃いトマト」がどれかわからないのです。。。さっぱりとしたみずみずしいトマトが好きな人もいます。甘いトマトが好きな人もいます。しかし売り場ではその情報がない。そうすると「えいや!」と適当に購入するしか手立てはなく結局「あれ、美味しくないなあ」と満足できないのです。欲しいトマトを購入できず、すごく僕(消費者)は不幸なのです。。。そうすると「トマトは美味しくない」と認知されてしまい次に購入してはもらえません(実際に僕はこのパターンで30歳まで野菜嫌いでした)。美味しくないのではなく、自分に合わなかっただけなのに。。。これでは作り手の農家も、買い手の消費者も不幸になります。
 まずは消費者を幸せにする。その後農家も幸せになる。この循環を実現するために必要なのが消費者が求めることを伝える能力、つまり【売る力】なのです。農業分野にはこの【売る力】が極端に欠如しています。弊社では2013年から【農業から農商へ】というスローガンでこの【売る力】を普及させることに全力を投入し突っ走ってきました。弊社は家庭用品専門デザイン会社でしたがこのときに農業専門デザイン会社に完全移行するという大決断を行いました。それは僕自身が食べたい野菜を食べたかったなのです。

 もう一つお伝えしておきますが「農家さんを救いたい」などとは一切考えていません。なぜ農家だけ「救ってもらわなければ生きていけない弱い存在」と認識されているのでしょうか。なんならデザイナーも救ってほしいです。商売が下手な人が多いので。。。
 弊社ではお互いに商売相手として【農家】という業種を捉えています。しっかりお互いに儲けあえる【仲間(ステークホルダー)】だと思っています。ですので一方的に「可愛そうだから手を貸す」でもなく「助けてあげると見せかけて吸い上げる商法(「農家さんを救いたい」という人たちは概ねこの考え方です)」でもありません。お互いに儲けあえる【仲間】なのでです。仲間だからこそ僕は全力でぶつかっていきます。
 ※僕のこの熱量はpodcast【農業デザイン!アグデザ】を聴いてみてください。かなり鬱陶しい熱量で喋り倒しておりますので 笑
因みに今年で配信開始から4年目に入り、合計で150時間以上「農業ブランマーケデザイン」について喋っています。よく一つのテーマでこれだけ喋れるなあと自分でも感心しますね 笑

 農家の皆様としっかり付き合っているとわかりますがそんな弱い人達ではありません。なぜか農業は趣味やライフワークのような牧歌的に捉えられがちですがれっきとした産業です。つまり商いなのです。しかしこれには農家自身のマインドセットにも原因があると思います。やはり今でも多くの農家が【作る】ことに意識を集中しすぎています。意識だけではなく手元にあるリソース(資金や時間など)も【作る】ことに集中させすぎています。もちろんこれは悪いことではありません。良い商品を作る、これはとても大切です。いくら商売が上手でも低品質の商品では売れません。しかし繰り返しになりますが作ることに集中しすぎてはいけません。「良いものを作っていれば勝手に売れる」という楽観的な考えでは売れないのです。

 ではなぜ良いものを作っているのに売れないのか?
それは主語が「私」だからです。
「私が良いと思う」では売れません。作り手のあなたが良いと思うのはあたり前だからです。そんなあたり前のことを声高にアピールしても消費者としてみては「商品なので良いものは当然でしょ。で、おすすめのポイントは?」となります。
 購入するのは作り手のあなたではなく消費者です。つまり主語が「消費者」でないといけません。
「消費者が良いと思ってくれるので作る」
「消費者が美味しいと言ってくれるので売る」
こうでないといけないのです。
 例えば
「消費者がこのサイズ感に対して良いと思ってくれるので作る」
「消費者がこの酸味に対して美味しいと言ってくれるので売る」
という感じです。

 さて、では【ブランマーケデザイン】という思考法はどういったものか?それはすごく単純な仕組みですがそれを体現化するのはとても困難な思考なのです。
 なぜ単純なのか?それはブランディング→マーケティング→デザインというプロセスをきちんと行っているだけ●●だからです。
 ではなぜ困難なのか?実はブランディングとマーケティングとデザインをすべて網羅するのが困難なのです。ブランディングの専門家、マーケティングの大家、デザイン界の巨人など各分野には伝説的な専門家はたくさんいます。しかし、専門家であればあるほど横断的にすべてを網羅することができないのです。それぞれ突出しないと専門家ではありません。しかし突出してしまうと他の領域に弱くなります。例えばケビン・レーン・ケラーの戦略的ブランドマネジメントを読むと、デザインのことは少しだけ触れられています。触れられてはいるが内容はとても薄いです。それはケビン・レーン・ケラーがデザインの専門家ではないからです。また有名デザイナーの書籍も、ブランディングやマーケティングにそれほど精通しているとも思えない内容が多いです。「それはあなただから成功したんですよね」と言う再現性のない作品集的な書籍が多く、大手広告代理店出身であることを利用した潤沢に資金が使えるようなプロジェクトばかりです。他にはアカデミックで論文的なものや、逆にチープな小手先のテクニック本、という感じです。これでは再現できないんですね。
 しかしこれは仕方がないな、とも思います。やはりこのブランディング、マーケティング、デザイン、という領域はそれぞれ奥が深く、そしてとても広いです。それらを全て網羅するとなると、相当の勉強と、相当の場数を踏まないと難しいです。大手広告代理店となるとプロジェクトは大きいがたくさんの案件を経験できるかというとそうではないでしょう。そして僕たちのような田舎で生きる者にとっては、数だけはそれなりに経験できるが、全国販売や大きなプロジェクトには参加できない。前者も後者もたった一回の成功にしがみつき「それが全ての答えだ」と信じるしか前に進めないのです。
 余談ですがそういう意味ではワクワク系マーケティング実践会の小阪裕司さんはすごいですよね。数多の事業者さんからたくさんの事例が小阪さ
んのところに集まってくる。それを小阪さんがパターン化して手法化していきます。これはよくできた仕組みだなといつも感心しています。
 本題に戻しますが、ではなぜ僕がこれほど強気で語れるのか?まるで自分は横断的に網羅できている、というような口調で語るか?そう、網羅できているのです。それは僕が幸運なことに和歌山という田舎で活動しながらも全国販売の家庭用品5,000アイテム以上関わることができたからなのです。なぜ和歌山なのにそんな事ができたのかというと、それは和歌山が家庭用品製造シェアが日本でトップクラスだからです。あなたが100円shopでよく見かける紙コップやおかずカップ、スポンジ、ブラシなどは和歌山県のメーカーで作られているものが多いです。(今度ぜひ裏面の製造者住所を見てみてください。)地方のデザイン会社は概ねその地方限定で販売する商品のデザインを作ることが多い。地方限定商品ではブランディングもマーケティングもそれほど真剣に行いませんしそもそも予算も時間も確保が難しいです。しかし僕の場合は和歌山にいながら全国販売の商品を手掛けることができました。全国販売となるとしっかり骨格となるブランディング、マーケティングを行わず見た目だけのデザインだと全く売れません。しかもロット数も多く、失敗するとダメージが大きい。かなりシビアな現場で5,000アイテム作成してきました。この経験がとても大きな財産になっております。
(ヒット商品開発秘話はこちらから!)↓https://note.com/harimaze/n/ncf4eaefff62b?sub_rt=share_sb

 そしてさらにその後、12年間で農産物のデザインも1,000アイテム以上世に送り出して来ました。クライアント数は農家、家庭用品、個人商店、小規模事業者すべてを集めると1000軒を超えます。地方のデザイン会社でこの数字は驚異的です。そして経験だけでは偏ってしまい再現性の精度が上がりませんので年100冊は専門書を読み、勉強もめちゃくちゃしております。因みに日経クロストレンドのデータによると40代の知識・教養を高めるための読書率は16.6%だそうです。いかに人は自分の経験だけを頼りに生きているかが見て取れますね。たしかに経験は大事です。しかし経験は偶然ですのでその偶然の中からパターンを見つけないと再現性はありません。そのパターンを見つける目を持つためには知識が必要なのです。経験と知識、この両輪がドライブしてこそはじめて横断的になれるのです。


 さて、前置きがとても長くなりましたがまとめると
【ブランマーケデザイン】とは
ブランディング
マーケティングを行い
デザインを作る
というこのプロセスなのです。
本当にこうやって書き出すと単純ですよね 笑

 僕自身もこの思考法で【農業専門デザイン会社(顧客数日本一)】【農業デザイナー】として認知されております。その証拠にpodcast【農業デザイン!アグデザ】はリスナー数が2,000人を超えました。さらにグッドデザイン賞も受賞し、自他ともに認める農業デザインの第一人者です。

では次回はこのプロセスについて、具体的な手法をお話いたします。

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