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《絵本レビュー》いちじくのはなし

『ねぇ、しってる?わたしね、〝もりのようせい〟がみえるんだよ!』

これは、長女(9)の最近のブームです。わたしゃ信じてはないですが散歩時に、彼女は張り切ってそう言っています。

そして肯定も否定もせずに親として成長を見守りながら、そういう日々を過ごしています。

時に、次女は長女の〝ご自慢〟に憧れを抱き、熱い視線をおくっています(笑)信じてるのか次女よっ、かわいいぞい♡

今日は嘘か真か気になる絵童話【いちじくのはなし】のレビューをしたいと思います。

〔作〕しおたにまみこ
〔初版〕2023年2月
〔発行所〕ブロンズ新社

《ストーリーについて》

ほろふきいちじくが3夜に渡ってキッチンの果物カゴ前にてお話会をします!

果物カゴの前は、観客で大賑わい。
自分を主人公に見立て、お話のはじまりはじまり!

第1話〝ぼうけんのはじまり〟
第2話〝オレンジのなみだ〟
第3話〝キッチンでおきたこと〟

いろんな冒険を真(自分の真実)のように話します。まわりの観客は、だんだんこの話が、偽りの物語なんじゃないかとザワザワし….

しおたにさんの絵童話〝たまごのはなし〟からの第2弾!ほらふきいちじくが話す大冒険を、いつまでも聞いていたくなる物語です。

《10コの視点》

【表表紙・裏表紙】
表表紙は、キッチンの王様になりきった、いちじくが描かれている。なんだろう、憎めない…瓶のキャップを足台にして片足のっけてるの愛しい。

【見返し】
波柄のような、グレー用紙。

【題字の文字】
いちじくの個性と連動しているようなこだわりを感じる書体。

【絵】
とっても繊細な鉛筆画で描かれた独特なキャラクター達(今回の私の推しは、マシュマロとはっかあめ)がとても魅力的でリアルでもある。表情や仕草が細かく、キャラクターの手足の細さや短さもかわいい。

【文】
ほぼ、いちじくのお話会になってるので、ほぼ、いちじくのご自慢文調だ。
この創造力と言語化する能力は、どうやって身につけたんだろう?教えてっ、いちじくさんよ。

【構成】
いちじくのお話会開催される

1夜目〝ぼうけんのはじまり〟のお話会

2夜目〝オレンジのなみだ〟のお話会

3夜目〝チッチンでおきたこと〟のお話会

いちじくの話が嘘か真か観客がザワザワする

観客はいちじくのことを芸術家とみて、又嘘か真かは、あやふやに丸め込まれた。

次の日、観客も評論家みたいになってお話会の感想を話し合う

【キャラクター】
・いちじく
・たまご
・ハエ
・おうさま
・はっかあめ
・マシュマロ
・ライム
・レモンのかいぞく
・ビスケット
・ナッツ

【舞台設定】
・キッチン
・いちじくの空想の世界

【イチオシ】
いちじくは、お話会でご自慢の話が終わると、バツが悪いのかササッと果物カゴの中に入っていく様を是非見て読んでいただきたい。

【ハッピーエンド】
人気はそこそこある、いちじくのお話会はこれからも続いてハッピーエンド。

《読み聞かせをしてみて》

『オレンジのなみだ みたぁ〜い わたしね さいしょからしってたよ いちじくの しょうたいっ(7)』

『うそつきやん この いちじく きらいになった(9)』

『嘘か真か そんなことは 関係ないんよっ(母)』

48ページにわたる絵童話の中でのキャラクターが多めにでてくるんです。私はそれぞれ声色を変えながら、そのキャラクターなりきったり、時に間違えながら、読み聞かせしましたよ。もちろん娘たちは、全集中しておりました。

《おしまいの言葉》

子供達って平気で、ほらふきますよね(笑)自信過剰で、本当に嘘か真かの境目が本人もあやふやな状態で話したりしますよね。

この絵童話を読んでいると、そんなことが思いよぎりました。

いちじくは、〝いちじくのお話会〟を通して、皆んなに自分というものを知って欲しかったのかもしれません。注目を集めたり、自分を大きく見せたかったり…

でも、いちじくの自己中心的な、お話をつくる創造力と、そのお話の中での自分は、全て真であったかもしれません。

わたしも、この絵本の中でお話を聞き終えた後評論家として、マシュマロやはっかあめ達と一緒に、感想をこう言い合いたいです。

『いちじくさんよ、そんなに早くカゴの中へと帰らなくてもっ!だってお話きいて、こんなに心がはずんだのはいつぶりかなって♪』

☆彡いちじくの友コボシより 


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