ドイツ三大名城 エルツ城
今週末でサマータイムが終わる。
秋も深まり、冬の足音が聞こえ始める季節だ。
今回は、私が秋に訪れた、美しいお城の記憶を。。。
Burg Eltz
エルツ城は、ノイシュバンシュタイン城、ホーエンツォルレン城と共に、三大名城や三大美城に選ばれている。
このような、三大○○という表現は、いかにも曖昧だ。
ドイツにはかつて、二万五千程のお城が存在しており、今も姿を残す物は約三千。
その中でも、三大美城を挙げるランキングにおいては様々な説があり、何が正しいのかは神のみぞ知るだ。
この三大名城も、エルツ城の代わりにハイデルベルク城が入るパターンもあるらしい。
欧州全体に目を向けてみると、ヨーロッパ百名城というものが存在しており、ドイツでランキングされているお城は十個。
この中にも、エルツ城が含まれている。
ドイツの名城・美城ランキングでも、このエルツ城が含まれる割合が高いので、やはり平均的にどのような方々が評価しても、このお城は美しいと言えるだろう。
また、かつての500ドイツマルク札には、このお城のデザインが使われていた。
このお城があるのは、ラインラント・プファルツ州、ヴィアーシェムWirschemの街。
モーゼル川が流れる山の中に、ひっそりと建っている。
まずは、Hatzenportの駅へ。
駅舎はなく、小さな駅だ。
駅の後ろの急斜面は、びっしりと葡萄畑。
このお城の近くは、たくさんのハイキングコースがあるので、その中の一番のショートコースを歩いてみる事にした。
出発地は、Moselkern駅。
可愛らしい街並みを抜け、ハイキングコースへ。
ここからが、本格的なハイキングコース。
川沿いを歩くので、常に川のせせらぎが聞こえ、とても心地良い。
ようやくお城が見えてきた。
ここまで、約5キロ。
各所に案内や看板あり、傾斜もきつくないので、軽いハイキングには丁度良い。
ただし岩場が多いので、運動に適した靴は必須。
お城より、更に上に登ってみる。
お城は山に囲まれている事が分かり、自然の要塞にひっそり守られているかのよう。
エルツ城近くにあるコッヘム城も、モーゼル川沿いに建ち、まるでおとぎの国のお城だ。
そしてこちらのエルツ城は、大切に隠されていた宝物を見つけた気分になる。
どちらも、とても魅力的なのだ。
想像していた以上の、圧倒的な美しさ。
どの角度から見ても美しく、凛としてカッコいい。
お城の内部は撮影不可のため、残念ながら写真はない。
そのため、写真は外観のみ。
このお城は、現在34代目となるJakob氏が所有者。
33代目Karl氏がテレビ取材を受けている様子がYouTubeに残っており、お城の内部も紹介されているのでご参考まで。
お城の見学はツアーになっており、ドイツ語、もしくは英語を選択できる。
見学時間は30分ほど。
ガイドさんのお話を纏めると、1157年に神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ1世より、ルドルフ・フォン・エルツ氏に、この地が与えられた。
お城の完成は、1472年。
そこから今まで、一度も破壊されていないため、不落の城とも呼ばれるそうだ。
13世紀に、3人の息子たちにこのお城が分配され、それぞれリューベナハ家・ケンペニヒ家・ローデンドルフ家としてお城に居住するようになった。(Rübenach, Kempenich, Rodendorf)
上部写真の右側、黄土色の建物はケンペニヒ家の居住区域で、領主は今も居住されている為、見学不可。
左側の白い建物、リューベナハ家の建物から、見学が始まる。
まずは、数々の武器が飾られた1階部分。
ダイニングの間には、クラーナッハ(父)の絵も飾られている。
寝室の間には、天井から壁までカラフルな模様が描かれ、温かみを与えている。
また、寝室にトイレ設備があるのは、当時としては最新の設備だったそうだ。
ローデンドルフ家の建物には、大きな会議室があり、甲冑が飾られている。
三当主に分けられた時に交わされたという様々な契約事項も、文書として残っている。
また、最後の台所の設計は、壁の厚さが2メートルもあるそうだ。
その理由は、壁をくり抜き、自然の冷蔵庫として使用していたのだという。
お城は常に修復が重ねられているが、年々修復は難しくなるという話をしてくださった。
例えば、子供部屋の窓を修復する際には、修復技術を持つ者が近くには既におらず、ベルリンまで送る必要があったとか。
こちらは、ツアー後に見学した宝物館の様子。
武器や財宝が、お城の歴史と共に展示されている。
見学後は、中庭のカフェで一休み。
美味しいケーキでエネルギー補給をしてから、お城を何度も振り返りながら、来た道を戻る。
季節は秋。
山の木々は、少しずつ黄色の葉を付け始める。
ゴールデン・オクトーバー、黄金の秋だ。
夕日に照らされた黄金の木々が、お城を囲む瞬間を想像してみる。
どの季節も美しいだろうが、黄金に輝く景色は、きっとこの景色以上に美しいことだろう。
そして不落の城は、これから先もずっと修復を重ね、この凛とした美しさを保ち続けるだろう。
【備忘録】
今回の宿泊地は、Hatzenport。
ワイン醸造所兼ホテル兼レストランの、Winzerhof Gietzen。
目の前がモーゼル川。
ウェルカムドリンクのロゼワインを、居心地の良い中庭で頂く。
部屋からはモーゼル川が見渡せる。
夕飯も、とても美味しかった。
ワインの写真を撮り忘れたが、ニコラウスという名前で、辛口過ぎず香りが良く、つい飲み過ぎてしまった。
Hatzenportは小さな駅だが、近くにはハイキングコースがたくさんあるようだ。
葡萄畑の中を歩くのは、きっと気持ちが良いだろう。
観光地として発展しているコッヘムとは、全く雰囲気が違う。
次回はゆっくりこの街に留まり、のんびり過ごすのも良いかもしれない。
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ドイツ三大美城の一つ、ノイシュバンシュタイン城。
エルツ城近くにあるコッヘム城
ハイキングの思い出
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