夢はポケットに
おいでませ。玻璃です。
ついにこの日がやって来た。
専門学校の体験入学説明会。
私が行ったのは、東放学園の放送芸術科。
その頃なりたかった職種はタイムキーパーだった。
当日は一人で電車を乗り継ぎ学校へ行った。
説明を受けた後にいよいよ本日のメインイベントが始まる。
校内には本格的なテレビスタジオがあり、仕事内容や現場の雰囲気、授業の様子をリアルに体感できる実習だ。
「タイムキーパー役、やりたい方はいますか?」
先生の問いかけに、小学一年生のように
「はい!」
と真っ直ぐに手を挙げて立候補した。
いよいよ、模擬スタジオに入って模擬放送の開始だ。
詳しいことは覚えてないが、少し恥ずかしい気持ちもありながらディレクター役の人に時間を伝える。
夢が形となってそこにある、そしてそこに居る自分。
田舎の萩っ子の私にとってはまるで宇宙旅行に来た気分だった。
きっと血圧は180を超えていただろう。
でも、忘れてはならない。
私はこの学校には入れない。
お金がなくて入れない。
帰りの電車で、涙が滲んだ。
「来るんじゃなかった。蛇の生殺しじゃん。」
その後、舞姉さん夫婦にこの話をした。
話を聞いて義兄がくれたアドバイスは…。
「玻璃ちゃん、その学校入っても全員がテレビ局に入れるわけじゃないよ。だったら、今の状況では入学は無理なんだし、卒業したらこっちに出て来て、アルバイトでも制作会社に潜り込めば?そこで自分に合ってるのか考えるのがいいんじゃない?」
そうだよ!そうだよね、義兄さん!
当時から切り替えの早い私はもう頭の中は次のステップへ。
早速アルバイト求人誌を買いあさりリサーチした。
現時点で制作会社の求人はある事はある。
ただアルバイト求人は時のもの。
“卒業後の来春に、また改めて探そう”
そんな風に考えられるくらい、当時はたくさんの求人があった。
フリーター全盛期だ。
そうしてその夢をポケットに入れて、残りの「夏休みin TOKYO」を楽しんだ。
フルーツパーラーでのアルバイト代も入ったので、ひろべえとディズニーランドに行ったり夜遊びしたり。
たくさんの土産話をバックに詰めて、私たちは萩の街へ向かった。
卒業まで約半年。
この後、まさかの萩での生活が待っているとは知らずに都会っ子を装った萩っ子の私は無事に萩に着いた。
では、またお会いしましょう。
📢お知らせ📢
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そこで、この「はぎいろモンタージュ」のサイドストーリーを声でお届けします。
12月から毎週土曜日の朝5時に放送予定です。
noteと共に第一話から振り返ってお楽しみください。
❇️初回放送12月7日(土)
「はぎいろモンタージュ 自己紹介」
サイドストーリー
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