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残された課題

おいでませ。玻璃です。

カーテンの隙間から出てきた手。
私の大声により消えた手。

怖くてすぐに夫に電話をかけたが留守だった。今のように電話を持ち歩いているわけではない。

まずは戸締りの確認だ。
なぜ?なぜ窓が開いていた?

前日にジーンズショップの同僚が泊まりにきていて、どうやら窓を閉めた時に鍵を閉めずにカーテンを閉めたらしい。
確認しなかった私も悪い。

思い起こせば夫が泊まりにきていた時も、窓の外にタバコの吸い殻を見つけた事がある。
ずっと狙われていたのだろう。

すぐに警察に電話をすれば良かったが、結果何もなかったし何故かその時に警察には朝行こうと思った。

でも、ひとりでいるのは怖い。
という事で、制作会社で一緒だった仲良しの子に電話をした。
彼女は神奈川に住んでいたので来るのは時間的に無理だったが、朝までの長電話に付き合ってくれた。

そうして翌日、夫に付き合ってもらって一緒に警察署に届けに行った。
その時の担当警官に

「彼氏と一緒に住んだらどうですか?」

と、言われた。
今なら信じられない軽口をたたく警官だが、その警官の話から本当に私たちは一緒に住むことになった。

ちょうどその頃、私の父が埼玉でタイル工事の自営業を始めていた。
ひとり親方だったので、その手伝いを夫がやる事になった。

そんなこともあり、この頃から私たちは埼玉県民となる。

父は元々偏屈なタチで、夫は本当に苦労した。父に意地の悪いこともされただろう。いろんな感情を必死に押し殺しながら夫は立派なタイル職人になった。

一緒に住んでからの私たちはいろんなところに出かけたり楽しい日々を過ごし、そして喧嘩もたくさんした。
そうして、ここでは書ききれない様々な事があった末に二人は結婚する事に決めた。

結婚式は夫の実家の新潟でやる事になった。関東ではライブハウスで友達を集めてパーティーを開催する。
そのパーティーで夫はバンド演奏、私はダンス仲間とダンスを披露する事に。

そんな結婚式を前に私にはやらなければならない事があった。
大きな大きな課題が残されていた。

合指症の足の手術。
どうしても私は白無垢が着たい。
そして、夫に伝えた言葉…。
「綺麗な身体になってお嫁に行きたい」
手術をしたらすっかり綺麗になるわけではない。それでも私が幼い頃からずっと抱えていたコンプレックスという黒い心を綺麗にして嫁ぎたかった。

母の知り合いからの紹介で都内の大学病院で手術をする事になった。
私の場合、切り離す事で指の間の皮膚が必要になる。
その移植もあるし、神経も繋がなければならない。
結構大変な手術になるという。

さあ、どんな入院生活が待っているのか?
頑張れ、玻璃ちゃん!

ではまたお会いしましょう。

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