見出し画像

ブックカフェ妖怪。

こんにちは~。私は最近、ブックカフェ妖怪になったので(?)、せっかくだし出会って良かった本たちを備忘録も兼ねて紹介したいと思います。
(ブックカフェ妖怪とは、ブックカフェ巡りにハマってしまい、距離やお金に関係なくどこまででも訪れてしまう人のことを指します。)

まずは、柳美里さんのブックカフェ「フルハウス」で出会った本。福島県の南相馬市にあるので、常磐線に乗って片道5時間かけて、往復の交通費で数万円を飛ばして一人で行きました。(ほぼアホ)(しかも日帰り)(コロナ対策のため誰とも会話せず死ぬほど除菌を繰り返しました)

極寒の中たどり着いた先でまず手に取った本がこちら。

画像1

      読むってどんなこと?
      (高橋源一郎/NHK出版)

この本、普段通っている駅近の本屋さんで何度か見かけたことがあったんですけど、「いやいや、『読むことがなにか』ってことくらい言われなくても分かってるよ~~」と思って軽くスルーしていた本でした。高橋源一郎さん、本当にごめんなさい。私は何も分かっていませんでした。土下座。

少し読み進めていくと、永沢光雄さんが編んだ『AV女優』(文春文庫)というインタビュー集におさめられた刹奈紫之さんという方のハチャメチャに際どいインタビューが引用されています。

あ、今『AV女優』ってワード出てきて、近くに人がいないか確認しました?笑
私もフルハウスでこの本を読んでいた時、一旦本を閉じて、周りの状況を確認しました。笑

刹奈紫之さんのことばを読んで、わたしたちがびっくりしてしまうのは、「アダルトコーナー」に迷いこんで、置いてあるヴィデオを、つい見てしまったとき(しかも、生まれて初めて)と同じ理由なのだと思います。びっくりして、こんなものを見ていいのか、と思い、そして、そのときになって、やっと、
「でも、なぜ、これを見てはいけないといわれていたんだろう。そして、それは、誰が決めたんだろう」と思うのです。
「『読む』ってどんなこと?」(高橋源一郎)P.68より引用

この刹奈紫之さんのインタビュー内容が気になる方は、ぜひこちらのアマゾンのURLをクリックしていただき、人気(ひとけ)のないところで読んでみてください。

素晴らしい比喩がたくさん使われている、とか、
ボキャブラリーが豊富である、とか、
精密な論理で構築されている、とか、
ワクワクドキドキするようなお話が満載である、とか、
読んだことのない、聞いたことのない知識や情報がいっぱいある、とか、
ただただうっとりする、とか、
そういった、誰だって、いいといいそうな文章ではなく、
それを読んでいると、不安になったり、それを読んでいることを隠したくなったりする、つまり、問題山積みで、できたら近づきたくない文章、そういうものこそ、「いい文章」だ、と私は考えています。
「『読む』ってどんなこと?」(高橋源一郎)P.64より引用

『問題山積みで、できたら近づきたくない文章』に、最近出会ったよ!って人いますか??

別に文章じゃなくても、『問題山積みで、できたら近づきたくない人』に最近出会ったよ!って人いますか??

私の数か月を振り返ってみると、一見出会っているようで、全然出会っていないような気がしました。初めて知った知識でも、なんとなく潜在的に「共感」しているものだったり、似通っていて、なんとなく「居心地」が良さそうな人としか一緒にいなかったり、

「危険!近づくな!」という標識が出ている文章や人に出会うことってそんなにないですよね。

と同時に、そういう文章や人に出会いにくい、いや、出会うことのないように設計された社会に生きているのかもしれない、と思います。

公立の小学校に通っているときは、当たり前のことだけど、色んな子がいました。毎日一緒に登下校をしていた「K君」という男の子が障がいを持っていたことを中学生くらいになって初めて知りました。同じクラスだった、「T君」は授業中に席に座っていることができませんでした。彼らは今どこで何をして生きているんだろう。

ふと私の周りを見渡したとき、席に座っていられない人は一人もいません。でも、本当はいるはずなのに。

私みたいにぼーっとしていると、「共感」できる文章や、「同質」な人に囲まれて、いつの間にか、それが世界の全てかのように勘違いしてしまう。やばいやばいと、背筋が伸びる思いでした。

「読む」ことで、自分の中の価値転倒を起こすことは、この交わりにくく設計された社会を生きていくための処方箋になるのではないか、と思います。

おっと、ブックカフェ妖怪になって、色んな本を紹介するはずが、たった1冊でちょっと文字数オーバーしました。(文字数オーバーは言い訳です。急に睡魔が襲ってきました)
また気が向いたら書きます!それでは~!