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流氷に憧れて【4】冬の知床一人旅

そのまま送迎で宿に向かう。ドミトリー式の宿にチェックン後、フロントに充電器の貸し出しを願い出たが、タイプBのコードはないと言われてしまい、仕方なく近くにいた宿泊客にお願いし、少しの間借りさせてもらった。

それからすぐに夕食の時間となった。ウトロの海の幸を楽しむため、夕食付プランを予約していて、人生初の宿での一人宴会をした。
夕食は豪華な海の幸尽くしだった。宿で捌いて漬け込んだというイクラや、つぶ貝の刺身、めんめ(助惣鱈)の煮つけ、ホタテ鍋の他、シカ肉の焼肉なども並んだ。手作り感ある美味しい海の幸をお腹いっぱいに食べた。ただ、心残りだったのが、写真が撮れなかったことと、ゆっくり楽しむ
ことが出来なかったことだ。
なぜなら、この間にスマホの充電をし、時間までに充電器を返却する必要があったからだ。

夕食後、私は充電器を返却した。
ちょうどそのとき、フレペの滝で会った台北出身の彼と偶然再会した。なんと、彼も同じ宿に滞在していたらしい。私が充電器を返却しているところを見て、彼は「あとでそれを渡します」というGoogle翻訳を見せてきた。失くしたとばかり思っていた私は、その時あまり意味が分からなかったが、その後スマホの充電器を手渡してくれた。バスに置き忘れていたから、明日渡そうと思って持っていてくれたらしい。嬉しくて何かお返しがしたかったが、何も持っていなかったので、飴だけ渡してお礼をした。

24時間入り放題の宿の大浴場は、源泉かけ流し。茶色いお湯にゆっくりと浸かった。その日は早めに眠ったので、翌朝は朝5時過ぎに目が覚めて、二段ベッドから静かに抜け出てまだ夜明け前の極寒の屋外を通って朝風呂に向かった。お風呂から外が白んでいくのを眺めた。


朝6時過ぎにはチェックアウトをした。朝のウトロを散歩したかったし、ひょっとしたら、知床連山の奥から朝日が見えるかもしれない。

宿を出て、温泉街の方へ歩いて夕日展望台へ向かう。眼下に広がる流氷が太陽に照らされ白く光っていた。まだ山の後ろ側から出たばかりの太陽は、広がる流氷の上に、山の形の影をつくっていた。


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