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【色エッセイ#3】私が「白」から思い出すもの11〜21

旅先で出会い、心に残った景色や食べ物、
日常で心動かされたものたちを「色」から捉え直す試み。
私が「白」から思い出すのは、こんなもの。

11.        那智の滝の水しぶき
荘厳に流れ落ちる那智の滝。落差は133mで日本三大瀑布の一つに数えられている。
那智大社から見ると、熊野の緑の森の中に一筋の白い線が通っているよう。
さらに滝に近づいてみると、その美しさと迫力に圧倒される。御神体となっている所以がわかる気がした。


12.        高校時代の制服
先日、飯田橋のしごとセンターに行った。会員登録をした帰り、懐かしいからと久々に高校時代の通学路まで足を延ばしてみた。通学路には、部活帰りと思しき後輩たちが夏服の白のセーラー服を着て歩いていた。
10年後のある日、私はしごとセンターの帰りに、この道を歩いているよ。


13.        知床連山
冬の知床で最も白く輝いていたのが、雪に覆われた知床連山だった。
凍り付いたフレペの滝を見た帰り、雪原の道の目の前に大きくそびえていた姿が印象的だ。これほど美しい雪山を見たのは、これが初めてだった。
知床を発つ長距離バス。私は、名残惜しい気持ちで、遠ざかる知床連山を見て、旅の終わりを感じていた。


14.        Beatlesのホワイトアルバム
一時期、ホワイトアルバムにハマっていた。
ホワイトアルバムで思い出すのが、飛鳥を一人で旅した時のこと。夜行バスであまり眠れずに到着した飛鳥で、”I’m So Tired”を息切れしながらも口ずさみ、アップダウンの激しい道を自転車で走っていたことは、少し笑える。
収録曲数が多いだけに、気分に合わせて聴けるので、当時を思い出しながら、今もよく通勤時に聴いている。


15.        夜明け前の海
白を色がない、と定義した場合に思い出すのが、夜明け前の沖縄の海。
海は青いものだと思っていた幼いころの私。夜明け前、母との散歩中に海を見て、海にはいろんな色があることを知った。海って空の色を映しているのかな?そんな風に母に質問したような記憶がある。
夜明け前の静かな海の色を、私は今でもよく覚えている。


16.        島原のかんざらし
ある夏、長崎の島原に行った。立派なお城と風情ある城下町、そして、至る所に水路のある湧き水の街だった。
私は、水屋敷という人気店で、島原名物「かんざらし」を食べた。かんざらしは、島原の湧水にさらして作る冷たい白玉スイーツ。庭の湧き水の池を眺めながら、縁側で頂いた。涼を感じて、私はまた島原の街に繰り出した。


17.        白樺
白夜の夜に北極圏の森で見た白樺。
低い位置から差し込む、いつまでも沈まない太陽は、白樺の幹をオレンジ色に染めていた。
ヘルシンキの名もなき海岸沿いで見た白樺。
雨であたりは白く曇っていて、そこに浮かび上がる白樺は、どこかおどろおどろしい美しさを放っていた。
フィンランドで見た白樺は、どこか弱々しくて、でも力強い。


18.        小川町の白ワイン
埼玉県小川町。酒蔵、和紙、有機農業など、様々な顔を持ち、行くたびに新たな発見のある町だ。以前訪れた際は、完全無農薬のブドウ栽培にこだわる武蔵ワイナリーのイベントに参加して、青空の下、ワインを楽しんだ。
赤ワイン種のブドウ「ヤマ・ソービジオン」から作った白ワインは、金色に輝くような白色をしていた。生産者から無農薬栽培の苦労を聞きながら飲むワインは格別だった。


19.        鯨の骨
三宅島で立ち寄った、海の見えるカフェには鯨の骨が展示されていた。店主曰く、店から数日に一度は鯨が見えるそう。同じ東京でも、鯨が身近な暮らしがあることに驚く。
彼は、鯨の骨を加工したアクセサリーを手作りしていて、私も記念に鯨の骨のキーホルダーを購入した。


20.     スーツケース
海外旅行のお供は、アースカラーの小さな白のスーツケース。地元の商店街の鞄屋さんで購入し、優しい店主がスーツケース選びを手伝ってくれた。「もし汚れたら、持ってきてくださいね。薬剤で落としてあげますから」とも言ってくれた。
その後、イギリス、フィンランドを一緒に旅してくれたスーツケース。次はどこを一緒に旅してくれるかな。


21.     雪柳
桜の下で華やかに咲く雪柳を見ると、小学校の入学式の日を思い出す。
当時住んでいたマンションの下の雪柳が満開で、大きなランドセルを背負って、母や祖母と写真を撮った記憶がある。母や祖母の嬉しそうな表情を思い出す。
それから、父方の代々のお墓の傍らにも雪柳が植わっている。春に墓地を訪れると、雪柳が重そうに咲いている。
私は雪柳が好きだ。


次回以降は、青、赤、緑など、他の色からも思い出や日常を捉え直す予定だ。

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