【超短小説】年雄と携帯依存
年雄は携帯に依存などしていない。
そう公言している。
携帯がないからといって、不安になったり、ソワソワしたりしない。
無くてもいいと思っている。
有れば使うが、無きゃ無いで問題なし。
だって、ただ便利なだけだから。
便利なんてのは、有れば使えばいいが、無くても困らない。
それが便利な物の基本だ。
年雄は今、友達のマーボーとご飯を食べる為に待ち合わせ場所に向かっている。
携帯を家に忘れて・・・。
でも取りに帰るような哀れな行動なんてとらない。
場所も時間も決まってる。
問題無し!
少し不安なのは、マーボーは遅刻癖があるという事。
でも問題はない。
多少の遅刻なんて、ちょっと携帯ゲームでもしていれば全然待てる・・・携帯・・・。
まぁ大丈夫だろう。毎回遅刻する奴ではない。
それに、遅刻する時は電話がくる・・・電話・・・。
大丈夫。待ち合わせ場所に向かおう・・・待ち合わせ場所の住所・・・携帯にメモってた・・・。
大丈夫。近くなったら、お店の名前を言って人に聞けばいい・・・お店の名前・・・?
あれ?場所が分からない・・・マーボーに電話して聞こう・・・電話・・・。
浜本年雄40歳。
全速力で携帯電話を取りに家に帰る。