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あの有名な名曲を含む組曲における、数々の公式とは?(3分間クラシック#3)

3分間で、カップラーメンが出来上がるのを待つ時間で、クラシック音楽のすそ野を広げることはできるのか?
今回は、あの名曲が含まれる作品を、もう少し、長く、楽しむために、3分間だけ聴いてみる。

「ホルスト」といえば「惑星」
「惑星」といえば「ホルスト」

という公式が成り立つように、双方強い関係で結ばれている。

この公式は、前回紹介した「わが祖国」とも共通する。

「スメタナ」といえば「わが祖国」
「わが祖国」といえば「スメタナ」

この公式。
強い関係を持つ者同士。
言い換えれば「一発屋」同士である。

ホルストの名誉のためにもフォローしておくが、他にも良い作品を作っている。なんと「日本組曲」という作品があり、どこかで聞いたことがある日本のメロディが聴こえてくるのに驚く。でも、これもまったく有名な作品では無い。ホルストのフォローにはならなかった。

ホルスト/日本組曲

「惑星」といえば「ホルスト」だが、
ホルストが作曲した交響組曲「惑星」といえば「ジュピター(木星)」
という公式もできる。そして

「ジュピター(木星)」といえば「平原綾香」
「平原綾香」といえば「ジュピター(木星)」

と言う公式が成立するように、平原綾香が歌って知名度がさらに高まった。(平原綾香が歌う「ジュピター」は、交響組曲「惑星」における「木星」の中盤で出てくるメロディを用いていて、全曲を歌っているわけではない。)

しかし、平原綾香は「金星」や「土星」など、「ジュピター(木星)」以外の曲を歌ってはくれなかった(はずである)。

よって、交響組曲「惑星」は「木星」によって治められている、その天下は継続中であり、安泰なままである。

つまり、「木星」の次に、虎視眈々と、その座を狙う武将には、いったいどんな奴がいるのか?

いや、交響組曲「惑星」の「木星」以外の曲は「いったいどんな曲?」という状況になったままである。

「ジュピター(木星)」聴くために、平原綾香のコンサートではなく、ぜひ、ホルストの交響組曲「惑星」が演奏されるコンサートへ足を運んでいただき「木星」を聴いていただきたいと思う。そして、交響組曲「惑星」自体を好きになっていただきたいと思う。

しかし、メインは、やはり「木星」である。
あの「平原綾香」が歌う、中盤で登場するメロディは間違いなく、クラシック音楽作品のなかでも素晴らしいもので、何か果てしなく大きなベールによって、懐ふかく、ふんわりと、かつ力強く包み込まれるような感じがする。それ以外の部分も、ほんとカッコいいのだ。

全7曲で構成される交響組曲「惑星」の4曲目に「木星」は登場する。

「木星」まで3曲。この3曲も聴きどころある素晴らしいもの。例えば、第1曲目の「火星」は「戦争をもたらす者」という副題が付いていて、「スターウォーズ」の音楽を彷彿させる。

第4曲目に、ようやく登場した「木星」が盛大に終了した後、我々が乗った宇宙船はまだあと3曲「土星」「天王星」「海王星」という、わが地球から遥か遥か遠いところを回っている惑星たちに向かうというミッションを抱えて進まなければならない。それはきっと困難を伴う旅だ。

「土星」は輪っかがあって、そのユニークな姿はよくわかるのだが、他の2つの惑星は一体どんな奴らなのか?そんなよくわからない奴らを表現した音楽なんて、果たしてわかるのか?

最後のミッションが終わるまで、とりあえず、その中間である第6曲「天王星」をまでたどり着きたい。

ホルスト/交響組曲「惑星」 第6曲「天王星(魔術師)」

35分30秒からから38分まで、約3分間お聴きください。

(演奏)シンフォニア・ロッテルダム
(指揮)コンラート・ファン・アルフェン

ひょっこ、ひょっこ・・・・
というリズム。何かふざけているような曲だ。「木星」とは比べ物にならないような、大きな惑星を表すには何か軽い感じの音楽だ。そもそも天王星のことを知らないから、どうこう言えないのではあるが。

でも、もしかしたら、どこかで聴いたことあるな、こんな雰囲気の曲、と思うかもしれない。私も昔、ずーっと、それが気になっていたことがある。

ディズニー映画「ファンタジア」から 「魔法使いの弟子」

もとは、デュカスが作曲した「魔法使いの弟子」。映画版は若干の編曲が映画にも登場する指揮者ストコフスキーによってされている。

ホルストの「天王星」の副題は「魔術師」。「魔術師」と「魔法使い」。同じである。

おそらくホルストは、パクってしまったのである。いや、デュカスに対するオマージュとして、同じ意味を持つ自らの作品に応用したのであろう。

「天王星」といえば「魔法使いの弟子」
「魔法使いの弟子」といえば「天王星」

ちょっと苦しい公式ができた。

交響組曲「惑星」を聴く際、「木星」に感動した後は、「天王星」を楽しみに待っていただきたい。

ステージ上に箒たちが水を汲んだ桶を持って隊列を組んで進んで行く。そんなことを想像しながら、この作品を聴いていただきたい。

ちなみに
「デュカス」といえば「魔法使いの弟子」
という公式も成り立つようだ。

**おすすめCD**
(指揮)ヘルベルト・フォン・カラヤン
(演奏)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

名曲だけあって、CDも沢山出ている。このカラヤン版は1959年録音という年代物であるが、古さを感じさせない鮮やかな音で聴くことができる。「惑星」という作品を世に広めるきっかけとなったのが、この録音である。

ComfreakによるPixabayからの画像

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